「私の一首」

米川教室

草田照子講師老いし象遠からず来るさびさびとはるかなる時間(とき)われと行くべく
歌集「父の贈り物」所収
浦河奈々講師母亡くてけふも国道六号に虹みゆつひに潜(くぐ)れざる虹
歌集「サフランと釣鐘」所収

佐佐木教室

宇都宮とよ講師エルキャピタンの頂き仰ぐカメラアイ去り難く浮く雲を見ている
歌集「エルキャピタンの雲」所収
斎藤佐知子講師秋を聴くおほいなる耳 うすづける光のなかの風の峠は
歌集「風峠」所収
谷岡亜紀講師空き缶を両手に捧げて人は唄う ここであそこで全ての場所で
歌集「闇市」所収

高野教室

津金規雄講師ファーブルのやはらかさうな古帽子ビル木枯しの中に思へり
歌集「ファーブルの帽子」所収
田中愛子講師駄菓子屋の脇に街灯あることをぼたん雪降る夜に知りたり
歌集「傘に添ふ」所収

岡井教室

中川佐和子講師元町のウチキパンまで鴇色(ときいろ)の傘さしてゆく昼を挟みて
歌集「霧笛橋」所収
田中槐講師鬼芝の怒れる冬の庭に立つ未完なること稀に美し
歌集「退屈な器」所収

今野教室

岡村彩子講師<さざなみ>と名乗る間違ひ電話あり美男子と決め一(ひと)日愉しむ
歌集「グレゴリオ暦」所収