ヨーロッパとは何か| 新宿教室 | 朝日カルチャーセンター
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10:30~18:30  *日曜・一部祝日を除く

ヨーロッパとは何か 歴史をどう書いてきたか

講師名 学習院大学名誉教授 堀越 孝一
講座内容

 古代ギリシアのヘロドトスから20世紀のオランダのホイジンガやフランスのマルク・ブロックまで、ヨーロッパと呼ばれる土地の人たちが歴史をどう書いてきたか。この千年紀二つ半ほどの間、歴史の見方はゆるぎなく一つであったとはけっしていえません。たえずゆらいでいました。一方では、キリスト教史観とか、唯物史観とか、歴史の見方を固定しようとする強大な力が働いていました。進化とか、段階的発展とか、なにしろ目的意識をもった歴史理解もいまなお盛んです。自分たちの歴史をどう理解したらよいのか。EUが解体の危機に瀕している現在、現代のヨーロッパ人は、歴史とは何か、思い惑っているようです。



1. 『中世の秋』第20章「絵と言葉」と第21章「言葉と絵」はなにか言葉を遊んでいるようですが、書いていることは絵画表現と言語表現の相対論です。第20章は「絵と言葉」という対語の立て方から絵画表現の方が主で言語表現の方は従の論立てかというと、そうでもない。「シャトランはその目で仔細に観察したことを簡潔な、含蓄のある言葉で表現している。ファン・アイクの力強く鋭い目付きが絵画表現の分野で成り遂げたことの、これはいわば文学版なのだ」と書いています。日常生活でそうするように、絵や言葉を絶対的なものとして立てるのではなく、他が在ってこそ、おのれが在るという相対論で見る。いずれにしても絵は言葉に読んで理解するわけでしょうと、皮肉たっぷりに、ホイジンガはわたしたちに問いかけます。

2. だから第21章はタイトルを「言葉と絵」と語順を変えて立てていますが、絵と言葉の相対論なことはたしかで、なんとか絵を言葉で説明しようと苦労しています。「15世紀の絵画の本質はまさしく多様性そのものにあった。ただ、その多様性がそのまま単一性を感じさせるにいたっている場合にのみ、そこに高度な調和の効果が生じたのである。」とホイジンガはいい、ファン・アイク兄弟の『小羊の礼拝』を最適な実例としてあげて、その絵の見方を丁寧に説明しています。その説明はよく分かりますが、ただ、ここでホイジンガは、だからファン・アイク兄弟には構図を工夫する面倒な作業は要らなかったのだといいたげな口吻を洩らしています。これはかれのよくする勇み足で、逆に構図の工夫こそが15世紀のネーデルラント両派にとって最大の課題であったことの次第を、わたしは本に書きました。『画家たちの祝祭』ですが、次回の講義の中でこれはご紹介したいと思います。

3. 『中世の秋』の最終章の結文にホイジンガは「生活の調子が変わるとき、はじめてルネサンスはくる」と警句めいた文言を記しています。この文言こそがこの本の読み方に指南車でして、ブルクハルトは同時期のイタリアにルネサンスの春を見ましたが、これはボッティチェリの「春」を頭においてわたしがそういうのですが、ホイジンガはフランスとネーデルラントに中世の持続を見ます。これは生活の調子の感触を各方面に確かめた上での結論であるとかれはいいます。これに対して反論を立てるにはかれの作業を再演してみなければならない。再演は、わたしのばあいいまだ部分的な試みにとどまっていて、この講義もまた、そのひとつの試みです。
日時・期間 水曜 10:30-12:00 01/24~04/18 3回
日程 2018年 1/24
受講料(税込み)
1月~4月(3回)
会員 9,072円
教材費
設備維持費
注意事項 ・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。
ご案内 <参考書>  「教養としての歴史学」(堀越孝一著、講談社現代新書)
講師紹介 堀越 孝一 (ホリコシ コウイチ)
1933年、東京に生まれる。学習院大学名誉教授。『ヴィヨン遺言詩注釈全4巻』(小沢書店)、ホイジンガ『中世の秋』(翻訳書、中公文庫(上・下)、中公クラシックス(Ⅰ・Ⅱ))、同『朝の影のなかに』(翻訳書、中公文庫)、『中世ヨーロッパの歴史』(著書、講談社学術文庫)、『ブルゴーニュ家』(講談社現代新書)、『新書ヨーロッパ史中世篇』(編著書、講談社現代新書)、『騎士道百科図鑑』(日本語版監修、悠書館)、『人間のヨーロッパ中世』(著書、悠書館)、『パリの住人の日記』Ⅰ・Ⅱ(校訂、翻訳、注釈、全3巻予定のうち、八坂書房)。『ヴィヨン遺言詩集 形見分けの歌と遺言の歌』(悠書館)、『ジャンヌ・ダルクの百年戦争』(清水書院、新訂版、2017年4月刊)。

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