遺跡から考える地形変化

  • 伊勢原市外堀遺跡
  • 佐助遺跡井戸の傾き
  • 上本 進二(神奈川災害考古学研究所 代表)
講師詳細

 神奈川県には相模湾の相模トラフや、国府津-松田断層や伊勢原断層、三浦半島断層群など多くの活断層と、丹沢山地や周辺の隆起帯、箱根・富士の火山灰降灰地など、災害を伴う地形変化が非常に激しい地域である。災害は過去の人々にも深刻な影響を与えていたことがわかっており、生活の場であった遺跡には災害跡が多く見つかる。
遺跡から見つかる災害跡は、地割れ・小断層、礫砂泥が噴出する噴砂や細粒風化火山灰が流動化して絞り出されるパミスダイク、地面が横方向に流動する側方流動や、火山灰層の地層の一部がすべり出す層すべりによって起こる地すべり、海岸付近の遺跡から見つかる津波堆積物は遺跡の人々に深刻な影響を与えていたと想像できる。 (講師記)

<各回のテーマ>
4/11 学際研究から生まれた災害考古学
1987年頃から、地質・地形学者が全国の遺跡調査に加わるようになり、遺跡から地震の痕跡が見つかるようになった。これが地震考古学である。神奈川県では地震の他にも様々な災害跡が発見されるようになり、災害考古学と呼ぶようになった。 初期の研究段階の災害考古学の模索を紹介し、地形・地質・考古学の基礎を解説する。

5/9 台地の火山灰土特有の地震跡
南関東の台地は関東ローム層に覆われていて、遺跡はその中に埋もれている。ローム層の研究と考古学は同時に発展した。同時にローム特有の地震跡も解明され、ローム層の土地には特有の危険が潜んでいることがわかった。

6/13 低地遺跡の地震跡
低地の遺跡は砂丘砂や砂質泥層の中にある。砂丘は強い風で移動する特徴があり、砂丘中の遺跡も特有の災害を受けている。鎌倉に代表される砂質泥層の遺跡は、時代ごとに盛り土されて、時代が移り変わる特徴がある。低湿地だけに噴砂や液状化の被害を受ける宿命がある。

7/11 液状化現象
湘南に代表される砂地の低地には液状化の痕跡が多く見つかる。一方、台地の火山灰土でも地すべりをきっかけにして液状化現象に似た現象が起きている。軟弱な地盤の多い神奈川県に多くみられる液状化現象について紹介する。

8/8 困難を極めた津波跡の発見
確実に津波の堆積物と認定できる地層は極めて稀である。高潮でも海の堆積物が打ち上げられるし、津波の浸食力は既存の遺跡土層まで洗い流してしまう。2018年、ついに発見した県内初の津波の堆積物は三浦半島の洞穴遺跡の中にあった。

9/12 火山灰の災害
日本の代表的な火山災害遺跡を紹介し、基礎的な解説から始める。火山災害のうち、最も怖いのが火砕流で、7万年前の箱根火山の噴火による東京軽石流は横浜市西部まで到達し、神奈川県の大半は焼け野原となった。その他、1707年の宝永噴火など富士山の爆発的噴火は何度も神奈川県の遺跡に深刻な影響を及ぼしている。さらに浮遊する微粒子は太陽光線を遮って冷害をもたらす。最近になって山城から発見された戦国時代の富士山の火山灰なども紹介する。

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日程
2019/4/11, 5/9, 6/13, 7/11, 8/8, 9/12
曜日・時間
第2 木曜 15:30~17:00
回数
6回
受講料(税込)
会員 17,496円 

講師詳細

上本 進二(ウエモト シンジ)
1951年広島県生まれ。神奈川災害考古学研究所代表。
専攻は地形学・考古学・火山灰層序学・岩石学。共著書に『ふじさわの大地』(藤沢市教文センター)、『秦野市砂田台遺跡』など遺跡発掘調査報告書多数〈約250編〉 趣味は登山・水彩画。