イスラム世界とは何か
  • 教室開催

  • 鈴木 董(東京大学名誉教授)
講師詳細

世界各地の文化が、グローバリゼーションの急速な進展の中で画一化されていくかにみえた現代において、アル・カーイダによる9・11事件、広大な空間を一時は支配下においたISすなわち「イスラム国」の出現、米国の多年にわたる干渉にもかかわらず復活したアフガニスタンのタリバーン政権など、異文化としてのイスラムの存在を実感させる出来事が続いている。このような中で、イスラムの影響の濃いところは、しばしば「イスラム世界」と呼ばれる。しかし、「『イスラム世界』とは何か」については、専門家の間でも様々に意見が分かれている。本講では、全世界がグローバリゼーションの波で覆われた18~19世紀より以前において、今日の目でみて「イスラム世界」とでも呼ぶしかない、イスラムの影響が実際に圧倒的に強かった「空間」は、どのようなものであったかを明らかとし、今日のイスラムの拡がりについて考えるための一つの手懸りを提供したい。なお説明にあたっては、図像資料もできるだけ活用しながら、話を進めたいと思っている。(講師記)
2023年4月開講。7月は第4回め。

<7月のテーマ>
国家の暦もイスラム暦に基づき、聖なる戒律シャリーアが裁判規範となる世界としての「イスラム世界」とムスリム信徒共同体ウンマ

<各回のテーマ>
4月 「イスラム世界」についての様々の見解
5月 イスラムの聖なる戒律シャリーアにおける「イスラム世界」としての「イスラムの家」は実在した-ズィンマ・ズィンミー・ムスタミン-
6月 国家の公文書がアラビア文字で書かれる世界とアラビア文字世界としての文化世界である「イスラム世界」
7月 (7月期)
国家の暦もイスラム暦に基づき、聖なる戒律シャリーアが裁判規範となる世界としての「イスラム世界」とムスリム信徒共同体ウンマ

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この講座は終了しました
日程
2023/7/24
曜日・時間
第4 月曜 10:30~12:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,300円 
設備費(税込)
165円

講師詳細

鈴木 董(スズキ タダシ)
1947年生まれ。東京大学法学部卒業。82年同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。専攻はオスマン帝国史、比較史・比較文化にも深い関心をもつ。東京大学東洋文化研究所助教授を経て、91年から同教授、2012年から東京大学名誉教授。著書:『オスマン帝国―イスラム世界の柔らかい専制』(講談社現代新書)、『文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点』 (講談社現代新書)、『オスマン帝国の解体―文化世界と国民国家』(講談社学術文庫)、『図説イスタンブル歴史散歩』(河出書房新社)、『食はイスタンブルにあり―君府名物考』(講談社学術文庫)、『世界の食文化―トルコ』(農文協)、『ナショナリズムとイスラム的共存』(千倉書房)、『オスマン帝国の権力とエリート』『オスマン帝国とイスラム世界』(東京大学出版会)、『文字と組織の世界史』(山川出版社)、『大人のための「世界史」ゼミ』(山川出版社)、編著の『帝国の崩壊』上下(山川出版社)、編著『トルコ読本』(河出書房新社)、『歴史とは何か―新しい「世界史」を求めて』(岡本隆司教授との共著、山川出版社)など多数。最新刊に『オスマン帝国の世界秩序と外交』(名古屋大学出版会)