英米の幻想短編の名作をよむ ポー、ペイター、チェスタトン
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  • 富士川 義之(英文学者)
講師詳細

近代以降の英米の短編には、怪異や幽霊や恐怖などを題材とする優れた作品が少なくない。日常生活のなかに眼に見えないものが突然侵入して来て、それまで意識されることのなかった身辺の世界の裂け目や亀裂を気づかせたり、この世の外ならどこへでも飛んでいきたいという憧れや幻想をかきたてることもある。
 この講座では、粒よりの英米の幻想短編のなかから怖ろしい疫病に襲われる人たちの恐怖を描くE.A.ポーの「赤い死の仮面舞踏会」、禁欲的な中世の老学僧がギリシアの美神アポロンの化身で疫病神でもある美青年アポリオンに強く惹かれて破滅してゆくウォルター・ペイターの「ピカルディのアポロン」、スコットランドの荒涼とした古城を舞台に城主の死の真相を見事に解き明かす名探偵ブラウン神父の活躍ぶりを描くG.K.チェスタトンのゴシック小説風な「イズレイル・ガウの名誉」という三編を選んで、それぞれの作品の代表的な場面の抜粋を幾つか原文と翻訳で読みながら、作品と作者について簡潔な説明を加えるという授業にしたいと考えている。
 コロナ禍のもとでさまざまな不自由を強いられ、事多き現実にうんざりしている方々も多いことだろう。そのような方々にこれらの幻想短編を読んで、つかの間の気晴らしを味わっていただけたらと願うばかりである。 (講師記)

● 参考文献

E.A.ポー「赤い死の仮面舞踏会」(「赤死病の仮面」) 富士川義之訳『黒猫』(集英社文庫所収 1992年)

ウォルター・ペイター「ピカルディのアポロン」土岐恒二訳『架空の人物画像』(集英社世界文学全集所収 1981年) 

G.K. チェスタトン「イズレイル・ガウの名誉」 富士川義之訳『チェスタトン―アポロンの眼』(バベルの図書館シリーズ1所収 国書刊行会、1988年)

この講座は終了しました
日程
2021/9/18
曜日・時間
土曜 13:30~15:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,300円 一般 4,400円
設備費(税込)
165円

講師詳細

富士川 義之(フジカワ ヨシユキ)
1938年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学文学部教授、駒澤大学文学部教授を歴任。専門は英国の世紀末とモダニズム文学。著書に『きまぐれな読書』『新東西文学論』(みすず書店)、『ある唯美主義者の肖像』(青土社)、『英国の世紀末』(新書館)。訳書にナボコフ『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』(講談社文芸文庫)、『青白い炎』(岩波文庫)、ワイルド『ドリアン・グレイの画像』(講談社)、ベイター『ルネサンス』(白水社)、アンジェラ・カーター『血染めの部屋』(ちくま文庫)、『ブラウニング詩集』(岩波文庫)など多数。2015年、「ある文人学者の肖像―評伝・富士川英郎」(新書館)が、第66回読売文学賞の評論・伝記賞を受賞。