ヤマトタケルの誕生

  • 加藤 謙吉(歴史研究家)
講師詳細

『古事記』や『日本書記』には、ヤマトタケルは父景行天皇の命を受けて、西征ついで東征に赴き、最後に悲劇的な死を迎える王族将軍として描かれています。もとより彼は実在の人物ではなく、その物語の内容は、大和政権の「国づくり」にまつわる様々なエピソードを、一人の英雄的な人物を創出し、その人物に仮託してまとめたものと理解されています。しかし景行天皇との関係などヤマトタケルの人物像には、『記紀』の間に明白な相違が認められ、一方で『記紀』と『風土記』の記述を対比することによって、ヤマトタケル自身がもともと、独立した人格を有する別個の天皇として伝承されていた形跡がうかがえます。また三種の神器の一つとされる草薙剣が王権のシンボルとなるまでの経緯が、ヤマトタケルの東征の物語の中に盛り込まれ、巧妙に説明されていますが、それはあくまで二次的な造作にすぎず、草薙剣の神器としての本来のあり方が逆に『記紀』の文章の行間から浮かび上がってきます。ヤマトタケルはどのようにして誕生し、いかなる変質を遂げたのか、その実相を探ることは、古代人の構想した国家形成史を知る上で極めて重要な意味を持つことと思われます。(講師記)

<各回のテーマ>

第1回 ヤマトタケルと倭武天皇
第2回 王統譜に占めるヤマトタケルの地位
第3回 草薙剣の変転―ヤマトヒメ・ミヤズヒメ・天武天皇―(Ⅰ)
第4回 草薙剣の変転―ヤマトヒメ・ミヤズヒメ・天武天皇―(Ⅱ)
第5回 天皇像の二分化―景行天皇とヤマトタケル―
第6回 建部(たけるべ)の設置とその性格
 

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お申し込み
日程
2020/7/11, 8/8, 9/12, 10/10, 11/14, 12/12
曜日・時間
第2週 土曜 13:00~14:45
回数
6回
受講料(税込)
会員 17,820円 
設備費(税込)
990円

講師詳細

加藤 謙吉(カトウ ケンキチ)
1948年三重県四日市市生まれ。1976年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。成城大学・中央大学兼任講師、放送大学講師を歴任。博士(文学)。著書に『蘇我氏と大和王権』、『大和政権と古代氏族』、『大和の豪族と渡来人』、『大和政権とフミヒト制』(以上、吉川弘文館)、『秦氏とその民』、『吉士と西漢氏』(以上、白水社)、『日本古代の豪族と渡来人』(雄山閣)など。