国境の世界史 歴史からみる現代世界

  • 北村 暁夫(日本女子大学教授)
  • 黒木 英充(東京外国語大学教授)
  • 中嶋 毅(首都大学東京教授)
  • 近藤 光博(日本女子大学准教授)
  • 西山 暁義(共立女子大学教授)
  • 安村 直己(青山学院大学教授)
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講師詳細

 人類社会に「国家」が誕生して以来、国境は常に存在してきました。しかし、そのあり方は時代や地域によって様々でした。係争を避けるために意図的に境界を曖昧にしたり、あえて「無主(誰のものでもない)」の土地を設けたりすることもあったのです。近代世界において主権国家が成立するともに、次第に国境は厳密に画定され、「無主」の土地は排除されていきました。
 本講座では、「帝国」が崩壊し、国民国家が形成される中で変動を続けてきた国境をめぐり、「国境の世界史」という視点で概観することで、私たちが生きる現代世界をよりよく理解することを目指します。(北村講師記)

①2/ 8 総論 -近代における「国境」とは何か  日本女子大学教授  北村暁夫
 16世紀以降の世界を対象として、国境というものがどのように認識されていたのか、「国境管理」の実態とはどのようなものであったのか、国家の権限は周辺地域にどのような形で及んでいたのか、といったテーマに関して、いくつかの事例を通して考えてみます。本講座では個別テーマとして取り上げていない東アジアやアフリカに関しても、具体的な事例について言及したいと思います。

②2/15 中東・バルカンの戦争と国家分解   東京外国語大学教授 黒木英充
 中東・バルカン地域には多数の国境線が引かれています。歴史を3、4世紀ほど巻き戻すと、現在40近い国家の領域が一つの国家・オスマン帝国の領土にあったことになります。その統治の仕組みの強みと弱みを解説し、現在この地域に噴出する諸問題を考えます。今後の地球社会のなかで国家とはどのような形で存続可能なのか、その手がかりを探ってみたいと思います。

③3/14 旧ソ連邦地域―ロシア帝国・ソ連邦・ロシア連邦   首都大学東京教授  中嶋 毅
 ロシア帝国は周辺領域を併合して拡大を続け、広大な領土を形成しました。この帝国を打倒して成立したソヴィエト連邦は、社会主義の旗印の下に旧ロシア帝国領のかなりの部分を再統合して超大国に成長しましたが1991 年末には解体してそこから多数の独立国家が誕生しました。講義では、旧ソ連地域の国境変遷の歴史を振り返ることを通じて、20 世紀に大きな影響を及ぼしたソ連の歴史的意義について考察します。

④3/21 アジアの植民地支配と国境、その光と影  日本女子大学准教授 近藤光博
 インド世界の南アジアから、東南アジアにかけての広大な地域を取り上げます。そこでは今も、いくつもの国境紛争が戦われており、重大な軍事衝突すら生んでいます。また、国境沿いに、あるいは国境をまたいで存在する民族集団に対し、既存の国民国家が熾烈な弾圧をくわえている場所もあります。これらの問題を概観しつつ、各々の歴史背景と、共通する歴史力学を浮かび上がらせたいと思います。

⑤4/11 ヨーロッパー消える国境、残る国境?    共立女子大学教授  西山暁義
 ヨーロッパには数多くの国家が存在する一方で、EUという超国家的な組織もあります。また、各国家には、イギリスのスコットランドやスペインのカタルーニャのように、独立を目指す動きがみられる地域も存在します。こうした複数の層が織りなすヨーロッパにおいて、国境とはいかなる意味をもち、それは歴史の流れの中で、どのように変化したのでしょうか。とくにドイツとフランスの例を取り上げつつ、考えていきたいと思います。

⑥4/18高いフェンスの向こうのアメリカ  青山学院大学教授  安村直己
 南北アメリカ大陸における国境の形成と紛争の歴史を取り上げます。コロンブス以後、先住民の伝統を無視して人為的に導入された関係で、この地域の国境はしばしば引き直されてきました。その結果、新たな国境の両側に家族が分断されることも少なくありませんでした。現在、米国が抱えている国境問題の背景にはこうした歴史があることを浮き彫りにしたいと思います。



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お申し込み
日程
2020/2/8, 2/15, 3/14, 3/21, 4/11, 4/18
曜日・時間
土曜 13:00~15:00
回数
6回
受講料(税込)
会員 17,820円 

講師詳細

北村 暁夫(キタムラ アケオ)
1959年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。1990年~1993年ローマ大学留学。日本女子大学文学部教授。専門はイタリア近現代史、ヨーロッパ移民史。著書・編著に『ナポリのマラドーナ』(山川出版社)、『イタリア史10講』(岩波新書)、『近代イタリアの歴史』(ミネルヴァ書房)、訳書にベヴィラックワ『ヴェネツィアと水』(岩波書店)などがある。
黒木 英充(クロキ ヒデミツ)
1961年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。東京大学東洋文化研究所助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助手、助教授を経て、現在、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。中東研究日本センター(レバノン)センター長。専門は東アラブ近現代史、中東地域研究。編書に『「対テロ戦争」の時代の平和構築』東信堂がある。
中嶋 毅(ナカシマ タケシ)
18世紀前半に帝国となったロシアは、周辺領域を併合しながら拡大を続け、19世紀末には地球上の陸地の約6分の1を占める広大な領土を統治しました。この帝国を打倒して成立したソヴィエト・ロシアは社会主義の旗印の下に旧ロシア帝国領のかなりの部分を再統合し、ソ連邦という特異な20世紀国家を形成しましたが、ソ連邦は1991年末には解体してそこから多数の独立国家が誕生しました。本講座では、ソ連邦とそれを構成していた諸地域の国境変遷の歴史を振り返ることを通じて、20世紀に大きな影響を及ぼしたソ連邦の歴史的意義について考察します。
近藤 光博(コンドウ ミツヒロ)
1967年生まれ。東京都立大学人文学部哲学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科宗教学・宗教史学修士課程修了。在インド日本国大使館政務専門調査員、オックスフォード大学国際開発学センターに非常勤研究員などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科より博士(文学)号を取得(宗教学・宗教史学専攻)。同博士論文で、第一回(財)国際宗教研究所賞。2007年4月より現職。近現代インドのヒンドゥー教、現代日本の宗教事情など、比較宗教学の立場から研究。
西山 暁義(ニシヤマ アキヨシ)
1969年神奈川県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PDを経て、現在、共立女子大学国際学部教授。共著書に『ドイツ史研究入門』(木村靖二氏、千葉敏之氏との共著、山川出版社)、『欧州統合の半世紀と東アジア共同体』(日本経済評論社、2009年)など。学位論文に「『最後の授業』―『最初の授業』 ドイツ第2帝政期エルザス・ロートリンゲンにおける初等教育政策(1871~1918年)」(学位論文、2003年)
安村 直己(ヤスムラ ナオキ)
1963年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中途退学、修士(文学)。東京大学、国立民族学博物館、東京外国語大学を経て現在、青山学院大学文学部教授。著書に『コルテスとピサロ-遍歴と定住のはざまで生きた征服者』(山川出版社、2016年)、共著書に『帝国・国民・言語-辺境という視点から』(三元社、2017年)、『近代国家とエスニシティ』(山川出版社、2014年)など。