南方熊楠（1867-1941）は、日本の近代始発期のあらたな学問分野を切り拓いた人物として知られていますが、同時に『今昔物語集』を中心とする説話研究の草分けの一人でもありました。ここでは、南方熊楠が『今昔物語集』をどう読み、それを研究にどう活かしていったのか、を検証しつつ、熊楠にとって説話世界の意味するものが何だったのか、臨終に際して娘に『今昔物語集』のテキストを託した想いは何だったのか等々、代表作の『十二支考』にみる説話の世界や『今昔物語集』との関わり方を通して、南方熊楠の魅力に迫りたいと思います。（講師記）

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