「遠野物語」の魅力を探る  話し好きの登場人物が見た世界を想像しながら

  • 土淵小学校校長室前の廊下に今も飾られている佐々木喜善の写真
  • 小田 富英(『柳田國男全集』編集委員)
講師詳細

『遠野物語』119話には、70人近い人物が登場し、そのうちの20人ほどは実名で記録されています。それらの人々の多くは、「ひょうはくりき」と呼ばれた話し好きの個性豊かな爺婆ですが、前近代の日本にとっては珍しくはなかったのかもしれません。豪傑の猟師佐々木嘉兵衛、峠の茶屋の主人新田乙蔵、不遇の生を受けた喜善を愛し育てた祖父万蔵やその一族、駄賃付けや畑仕事の労働の合間の一時を、笑いあり、涙ありの話の中に身を置くことで乗り切ろうとしていたのでしょう。少年喜善を取り囲む遠野土淵村山口集落の狭い空間は、話の渦巻きの小さな宇宙を形成していたかのようです。
 今回は、それらの個性的な人物が登場する話群を読み進め、彼らが生きた前近代と近代の継ぎ目の世界を覗いてみたいと思います。過去を知ることは、未来を考える術ともなります。「語り」をまちづくりの核とする可能性を考えてみることにもなるはずです。ぜひいらしてください。お待ちしています。(講師記)

この講座は終了しました
日程
2020/1/30
曜日・時間
木曜 15:30~17:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,080円 一般 3,740円

講師詳細

小田 富英(オダ トミヒデ)
東京学芸大学卒。36年間東京都公立小学校教員を勤めた後、作新学院大学特任教授を経て、現在『柳田国男全集』編集委員、日本地名研究所『地名と風土』編集長、遠野市立遠野文化研究センター研究員、常民大学運営委員、全面教育学研究会会員、『遠野物語』で交流を楽しむ会(『遠野物語』交流楽会)代表など。共著:『柳田国男伝』(三一書房)、『口語訳 遠野物語』(河出文庫)、『犯罪の民俗学 2』(批評社)、『わいわい学級』(現代書館)、『地域に根ざす民衆文化の創造―「常民大学」の総合的研究』(藤原書店)など。論文:「初稿本『遠野物語』の問題」(国文学)、「柳田国男おじいさんのメッセージ」(『毎日小学生新聞』連載)、「平地人とはだれか」の三回連載(『伊那民俗研究』『遠野学』)、「『遠野物語』と遠野郷民俗誌の間」(『地名と風土』第13号)、「新渡戸稲造と柳田国男」(『新渡戸稲造の世界』第28号)など多数。
2019年3月に新しい柳田国男の「年譜」を、筑摩書房から刊行中の『柳田国男全集』別巻Ⅰとして発表した。また、『地名と風土』で「地名学習のすすめ」を連載中。