ほっとけない仏たち  幻の南相馬・大悲山石窟に挑む

  • 南相馬市大悲山の石仏 撮影:大屋孝雄 
  • 南相馬市大悲山の石仏 撮影:大屋孝雄 
  • 青木淳講師
  • 青木 淳(多摩美術大学教授)
  • 藤木 海(南相馬市教育委員会文化財課主任文化財主事)
講師詳細

福島県南相馬市の大悲山石窟へは、たしか2016年の春に写真家の大屋孝雄さんに案内をしていただいて初めて伺いました。南相馬というと馬追い祭りで有名な場所ですが、まさかこれほど壮大な磨崖仏が残されているとは思ってもいませんでした。
古い覆屋(おおいや)の奥に、間口が約15メートル、奥行き3メートルほどの洞窟があって、そこに約5メートルの本格的な石仏が4体、それに2体の菩薩像が現れました。真っ暗な洞窟に目が慣れてくると飛天などを含む線刻画も見えてきました。その時の気持ちは、ただ言葉を失うような出来事に遭遇したという感じでした。
その後、大震災後の復興事業で南相馬市教育委員会による発掘調査により隣接する大悲山観音堂石窟から10世紀に遡る燈明皿が発見されたことから、この一連の大悲山石窟群がそれに先行する遺構であることがわかりました。近隣には7世紀ごろにこの地にはアジアでは最大規模の製鉄遺跡(金澤製鉄遺跡群)や東北では珍しい装飾古墳(清戸迫横穴古墳など)も確認されています。太古の時代に南相馬でつくられた不思議な石仏や製鉄遺跡のはなしを東京では初めてご紹介させていただきたいと思います。(講師・記)

参考資料 青木淳著「福島の磨崖仏、鎮魂の旅へ」(2017淡交社)ISBN-13 : 978-4473041975


3/11 幻の南相馬・大悲山石窟に出会う(多摩美術大学教授 青木 淳)
3/18 大悲山石窟の巨大なほとけたち(多摩美術大学教授 青木 淳)
3/25 大悲山石窟の科学的調査と発掘の成果(対談:南相馬市教育委員会文化財課 主任文化財主事 藤木海 多摩美術大学教授 青木 淳)

お申し込み
日程
2021/3/11, 3/18, 3/25
曜日・時間
木曜 15:30~17:00
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 13,200円
設備費(税込)
495円

講師詳細

青木 淳(アオキ アツシ)
1965年東京生まれ 総合研究大学院大学修了・博士(学術)多摩美術大学教授 専門は日本美術史・宗教文化史 鎌倉時代の仏師快慶の研究者として知られる。最近ではNHKスペシャル “運慶と快慶 新発見!幻の傑作“に出演。著書に『福島の磨崖仏―鎮魂の旅へ』(淡交社 2017)・『四国の仏像―いにしえの祈りのかたち』(淡交社 2015)など。
藤木 海(フジキ カイ)
1973年、東京都生まれ。立正大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。2018年国士舘大学に論文を提出して博士(人文科学)の学位を取得。2011年6月まで南相馬市教育委員会文化財課で泉官衙遺跡の保存・整備を担当。現在、南相馬市教育委員会文化財課主任文化財主事。主な著作 『南相馬に躍動する古代の郡役所 泉官衙遺跡』(シリーズ「遺跡を学ぶ」106 山川出版) 、「泉廃寺跡出土の植物文軒先瓦の変遷」『古代東国の考古学』(慶友社)、「有蕊弁蓮華文鐙瓦の展開とその背景」『福島考古』第47号ほか『南相馬に躍動する古代の郡役所 泉官衙遺跡』(シリーズ「遺跡を学ぶ」106 山川出版)