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古事記の新しい讀み方
―中国思想の受容について―
- 教室開催
- 金井 清一(京都産業大学名誉教授)
古事記は天皇家の「天地初発」以来の統治正統性を述べた史書です。そのことを、系譜と物語によって説いているのですが、物語には、当時の国際環境の影響を強く受けて、中国の天命思想(てんめいしそう)や禅譲放伐(ぜんじょうほうばつ)の歴史観を潜在させています。そして、国の正史であろうとしています。律令政府は、そういう古事記を黙殺し、大唐帝国の国際的基準に添った<脱倭入唐(だつわにゅうとう)>の日本書紀を作りました。古事記は、近世、近代に、純粋な大和心(やまとごころ)の書として復活しますが、その中国思想の受容は、殆ど見出されず今日に至っています。(講師記)
- 日程
- 2023/3/16
- 曜日・時間
- 木曜 13:00~15:00
- 回数
- 1回
- 受講料(税込)
- 会員 3,300円 一般 4,400円
- 設備費(税込)
- 165円
講師詳細
- 金井 清一(カナイ セイイチ)
- 東京大学文学部卒業。同大学院博士課程修了。東京女子大学教授を経て京都産業大学教授。2002年4月名誉教授。上代文学専攻。著書に『万葉詩史の論』『日本の文学 古典編 古事記』『万葉集全注』『古代抒情詩万葉集と令制下の歌人たち』『古事記編纂の論』などがある。