国際人道法と国際人権法から見た日本の姿 民主の抵抗、国家の暴力、世界を席巻する人権侵害とどう向き合う

  • 伊勢崎 賢治(東京外国語大学教授)
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ジェノサイドはプロセス。
ホロコーストはガス室から始まったわけではない。
ヘイト・スピーチから始まったのだ。

これは、僕がかつて籍をおいた国連の、ジェノサイド予防委員会の特別顧問である、アダム・ディエンの言葉です。
彼は、あのルワンダで起きた、人類史に残る集団虐殺の、国際戦犯法廷で働きました。100日間で100万人が殺される、それもヘイトで煽られた集団が、特定のアイデンティティをもつ同国人に対して行われた虐殺です。
この講座の問題意識は、これ。世界で蔓延する、重層的なヘイトの問題です。日本は無関係か? いえ。大正12年(1923年)に起きた関東大震災の混乱の中で、官憲や民間の自警団などにより多数の朝鮮系日本人および朝鮮人と誤認された人々が殺害された「関東大震災朝鮮人虐殺事件」があります。数百名~数千名が犠牲になったと言われるこの事件。特筆すべきは、この集団虐殺に関わった実行犯は若干名処罰されましたが、責任者は誰も処罰されなかったことです。現代において、これが起きたら?
現在も継続するルワンダの国際戦犯法廷の例を出すまでもなく、責任者が優先的に裁かれます。実行犯よりも、です。そういう集団を煽り、命令を下した者。例えば、ヘイトを繰り返し放送し、殺せと煽ったメディアの社長とか、政治家たちです。こういう、いわゆる「人道に対する罪」を明確に「国際法上の犯罪」と定義し、その処罰が合意されたのは、2003年に設立された国際刑事裁判所のローマ規定です。同規定は、各国家に、自らの領域内でおきる、こうした集団虐殺に対して、第一次的な裁判権の行使を期待します。つまり、自らの集団虐殺を裁くのは、まず各国家の責任であり、そのための国内法の法整備が必要としているのです。これが、現代の国際司法の考え方です。
さあ、我が国、日本はどうなっているでしょう?(講師・記)

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日程
2020/11/25
曜日・時間
水曜 19:00~20:30
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,300円 一般 4,400円
その他
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

伊勢崎 賢治(イセザキ ケンジ)
東京外国語大学大学院 教授。昭和32年東京生まれ。内戦初期のシエラレオエネを皮切りにアフリカ三カ国で10年間、開発援助に従事し、その後、東チモールで国連PKO暫定行政府の県知事を務め、再びシエラレオネへ。同じく国連PKOの幹部として武装解除を担当し内戦の終結に貢献する。その後、アフガニスタンにおける武装解除を担当する日本政府特別代表を務める。
主な著書に 『武装解除』 (講談社現代新書)、『伊勢崎賢治の平和構築ゼミ』 (大月書店)、『紛争屋の外交論』 (NHK出版新書)など。新刊に 『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』 (朝日新書)、『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)。共著に『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(集英社クリエイティブ)。