魅惑のイタリア・ルネサンス庭園
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  • ヴィッラ・ランテ
  • ヴィッラ・デステ 百噴水の通り
  • 桑木野幸司講師
  • 桑木野 幸司(大阪大学栄誉教授)
講師詳細

 ミケランジェロやラファエロらが活躍したルネサンス時代のイタリアはまた、庭園芸術の最先端の地でもありました。中世までの小規模な庭を囲う壁が取り除かれ、広大な風景に開かれた魅惑的な美苑・奇園が半島の各地につくられてゆきます。丘陵地にテラスを重ね、豊富な水を使った噴水が並び、人工洞窟や自動機械人形、古代彫刻、珍花奇葉・珍獣奇鳥といった要素に満ち溢れた当時の庭は、現代のテーマパークの原形ともいえる空間でした。本講義では、イタリア・ルネサンス庭園の発展プロセスをおいかけながら、庭園史という学問のおもしろさをお伝えしたいと思います。(講師・記)

今期のカリキュラム
第10回:庭を舞台とした水の物語:ヴィッラ・デステとヴィッラ・ランテ
第10回以降はいよいよ、イタリア・ルネサンス庭園の黄金時代を代表する傑作園をじっくり分析してゆきます。第10回は、水の用い方に独創的な工夫が見られるヴィッラ・デステとヴィッラ・ランテという、二つの庭を取り上げます。ローマ近郊の古代以来の別荘地ティヴォリに位置するヴィッラ・デステ(世界遺産)は、豊富な水源を活用し、園内各所に大規模な噴水や水の仕掛けを施しています。それらに彫刻やグロッタなどを巧みに組み合わせることにより、庭全体を、神話の英雄ヘラクレスの冒険譚を再体験できる空間に仕立てています。二つ目のヴィッラ・ランテは、前者よりやや規模は小さいもののデザインの洗練度は非常に高く、こちらでも水の流れを庭の中央軸線に取り込み、水を用いた造形の可能性を極限まで追求した
造園が行われています。庭全体は、神話の黄金時代から鉄の時代までを表しており、園内の散策がそのまま人類史の展観に通じる仕掛けになっています。
この回、ヴィッラ・デステの動画あり。

第11回:愛と戦争の森:ボマルツォの怪物庭園とグロッタ文化
一般に「怪物庭園」の通称で知られている、サクロ・ボスコすなわちボマルツォ庭園を取り上げます。シュルレアリストたちが賞賛し、仏文学者澁澤龍彦も愛してやまなかったこの怪物庭園には、その名の通り、園内に巨大な怪物彫刻が無造作に置かれており、異様な雰囲気に包まれています。けれども資料を丹念に調べてゆくなら、そこには施主の魂の遍歴ともいうべきものが反映している可能性が、近年の研究によって指摘されています。今回の講義では、園内の奇矯なモニュメントをじっくり観察しながら、それらに込められた意味を、同時代のグロッタ文化とも関連付けて論じてゆきます。
この回、ヴィッラ・ランテ(前回)の動画あり。


第12回:驚異の庭園プラトリーノ:フランチェスコ一世・デ・メディチの綺想世界
最終回の第12回では、16世紀末のトスカーナ大公国に造営されたプラトリーノ庭園を取り上げます。無類の庭好きとして知られるトスカーナ大公フランチェスコ一世・デ・メディチが国庫を蕩尽して作り上げた綺園で、後にフランスのヴェルサイユ宮殿のバロック式庭園が世を席巻するまで、ヨーロッパの王侯たちの造園モデルとなった非常に著名な庭でした。残念ながら往時の姿を現在はとどめていませんが、資料を丹念に分析し、造園当初の豪華絢爛な庭の姿を再現してみたいと思います。またレクチャーの最後には、前12回の講義内容を振り返って、まとめを行います。
この回、ボマルツォ庭園(前回)の動画あり

<参考資料>本講義の内容以下の著作をベースにしております。
桑木野幸司『ルネサンス庭園の精神史:権力と知と美のメディア空間』(白水社、2019年)
※朝日カルチャーでは販売していません。ご入用の場合は各自、書店でお買い求めください。

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日程
2022/4/13, 5/11, 6/8
曜日・時間
第2週 水曜 10:30~12:00
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 11,550円

講師詳細

桑木野 幸司(クワキノ コウジ)
1975年静岡県浜松市生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程・単位取得退学、ピサ大学美術史学科博士課程修了(博士:Dottore di Ricerca in Storia delle arti visive e dello spettacolo)。現在、大阪大学文学研究科教授。学術振興会賞受賞。『ルネサンス庭園の精神史』(白水社)でサントリー学芸賞受賞。他の著書に『記憶術全史:ムネモシュネの饗宴』(講談社メチエ)、『叡智の建築家:記憶のロクスとしての16-17世紀の庭園、劇場、都市』(中央公論美術出版)他。