「大日本帝国」と戸籍
  • 教室・オンライン同時開催

  • 遠藤 正敬(早稲田大学講師)
講師詳細

 戸籍は「家」や「血」の証明であり、日本の「国民」観念を支える道徳的な装置として「日本人」を律してきた。その戸籍が台湾、朝鮮、樺太といった植民地の人々を「帝国臣民」としてどのように管理し、支配したのか。また、明治からの新領土である北海道と沖縄、さらには日本が建国した満洲国において戸籍制度はいかに実施されたのか。そこには異民族に対する「同化」と「差別」という矛盾が生じていたのである。
2022年4月28日は日本がサンフランシスコ平和条約により主権を回復してから50周年であった。同じ日、日本に居住する朝鮮人、台湾人は一斉に「日本人」から「外国人」へと変動させられた。その過程で重大な意味をもったのがほかでもない戸籍であった。その点でも植民地支配と戸籍の関係をあらためて理解しておく必要がある。
本講座では、日本の植民地統治において戸籍の果たした役割を通して、「民族」や「血統」とは何か、「日本人」とは何かを問い直す。

第4回 台湾
 日本最初の植民地とされた台湾であるが、戸籍制度の整備は紆余曲折をたどり、朝鮮や樺太よりも遅れた。台湾の戸籍制度とはいかなるものであったのか。戸籍における漢族と原住民の区別、朝鮮の戸籍制度との比較についても考察する。

第5回 満洲国
 日本が「独立国家」として建国した満洲国は、広大な領土に漢族、モンゴル族、満洲族など多様な民族が生活し、「国民」の管理もひと苦労であった。その対策として戸籍法の制定が模索されたが、果たしてその行方は?また、日本人開拓民の戸籍の問題を取り上げ、今も残る「中国残留邦人」問題の本質を問いただす。

第6回 戦後の「大日本帝国」解体と戸籍
 日本がサンフランシスコ平和条約により主権を回復した1952年4月28日、日本に居住する朝鮮人、台湾人が一斉に日本国籍を喪失させられた。その過程においては植民地時代の戸籍が重大な意味をもっていたのである。日本の戦後処理と戸籍の関係を振り返り、その問題点を追う。


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日程
2022/10/12, 11/9, 12/14
曜日・時間
水曜 16:00~17:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 13,200円
設備費(税込)
495円

講師詳細

遠藤 正敬(エンドウ マサタカ)
1972年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員。早稲田大学、宇都宮大学等非常勤講師。専攻は政治学、日本政治史。著書に『天皇と戸籍-「日本」を映す鏡』(筑摩選書、2019)、『戸籍と無戸籍-「日本人」の輪郭』(人文書院、2017)、『戸籍と国籍の近現代史-民族・血統・日本人』(明石書店、2013)、『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍-満洲、朝鮮、台湾』(同、2010)等。