天皇と戸籍 家、王権、そして日本
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  • 遠藤 正敬(早稲田大学講師)
講師詳細

戸籍は「日本人」の証明とされている。だが、「日本」の象徴とされる天皇は決して戸籍をもつことがない。この事実は一体、何を意味するのか?そこから次々と疑問があふれ出してくる。天皇は「日本国民」なのか?天皇家の身分登録はどうなっているのか?天皇家の結婚や養子は一般国民とどう異なるのか?等々。天皇制と戸籍は、ともに「日本独自の伝統」として生き続け、「日本人」の精神を左右してきた。家父長制、祖先崇拝、氏と姓、非嫡出子差別などの戸籍を支えてきた思想を考える時、それらが天皇家の“家憲”と深く結びついていることがわかる。天皇と戸籍の関係を歴史的にたどることで、みえてくる「日本」がある。(講師記)

第7回  天皇と家父長制―皇室は理想の家族か?
 男系男子が皇位を継承する天皇は、天皇家の“家長”として皇族を監督してきた。特に明治期から、天皇は皇族に対する統制権をもち、また“隠居”も不可となった。こうした天皇の姿に、家制度の支柱となる家父長制の思想が重なり、天皇家は日本における“理想の家族”として仰がれてきた。天皇家が家族をめぐる倫理的規範とされる一方、一般国民の家族制度とのギャップを国家はいかに合理化してきたのか。

第8回 天皇と家族国家思想―「国体」と戸籍
 家は「祖孫一体」の祭祀とともに継承されることが理想とされ、それが家格につながった。「万世一系」の皇統、すなわち家の永続性を理由として天皇家が神聖化されることで、“家の系譜”である戸籍も美化される。そして、現人神・天皇を「家父」、一般国民を「赤子」として「一家」たる日本が成り立つという家族国家の思想が「国体」の核心であった。戦前まで日本国民を支配した「国体」の観念と戸籍」はどのように結びつくものであったのか。

第9回 天皇制と戸籍制度のゆくえ
 出自に基づく差別や不平等は民主主義に背反するものである。しかるに、血統の連続性つまり出自を根拠に崇拝される天皇制は、戦後民主主義とともに存続してきた。天皇制と支え合うかのように生き続ける戸籍制度は、出自に基づく差別の温床となってきたのみならず、選択的夫婦別姓や同性婚のような多様化する「家族」像との矛盾を露呈している。ジェンダーや多様性といった価値観が浸透している今日、天皇制度と戸籍制度はどこへ向かうのか。

お申し込み
日程
2021/10/18, 11/15, 12/20
曜日・時間
月曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 13,200円
設備費(税込)
495円

講師詳細

遠藤 正敬(エンドウ マサタカ)
1972年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員。早稲田大学、宇都宮大学等非常勤講師。専攻は政治学、日本政治史。著書に『天皇と戸籍-「日本」を映す鏡』(筑摩選書、2019)、『戸籍と無戸籍-「日本人」の輪郭』(人文書院、2017)、『戸籍と国籍の近現代史-民族・血統・日本人』(明石書店、2013)、『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍-満洲、朝鮮、台湾』(同、2010)等。