深海底の科学 深海から見る日本列島

  • しんかい6500
  • 藤岡換太郎
  • 藤岡 換太郎(元海洋研究開発機構特任上席研究員)
講師詳細

 地震、地殻を構成するプレートの沈み込み運動やマントル中のプルーム運動などの地球内部の動き、深海生物の生態系・生物の進化、海底に堆積した物質や海底熱水系の理解による地球の環境変遷の解明など、深海ではさまざまな調査が行われている。講師が51回乗船した潜水調査船「しんかい6500」も、未知の世界であった深海で数多くの発見を成し遂げた。
 本講では、世界各地の様々な海溝に見られる海底の構造やプレート、地形形成や地震にかかわる要因などを、映像も用いて実際に観ながら解説する。

<今期のテーマ予定>※進捗により変更になる場合がございます。
1. 深海とはどんなところ、なぜ深海にもぐるのか
深海の世界の案内。深海は高圧で低温の世界。宇宙より過酷な世界である。弧の深海へ行くための様々な道具、とりわけ潜水調査船とはどのようなものか。無人探査機やその他の関連する様々な機器についても触れる。深海を総合的に観察、観測して初めて深海の世界がわかる。

2. 日本海溝にもぐる(映像あり)
日本海溝は日本で最初に研究された海溝。陸側の斜面と海側の斜面ではその性質は大きく変わる。陸側には化学合成生物群集が存在し、多くの海底地滑りが発生し、地震が起こっている。海溝底にも化学合成生物群集であるナラクハナシガイが分布。海側の斜面には潜り込むプレートが作るいろいろな構造が見られる。地塁・地溝や関連する亀裂、そこに見られる思わぬもの。奇妙な海丘は新しいタイプの火成活動。

3. 南海トラフに潜る(映像あり)
深海に潜る理由と海溝の2つのタイプ、侵食型と付加型について後者の代表のでき方について話す。海底には化学合成生物群集や地震・津波の跡。観測や深海掘削によって地下構造などが明らかになっている。付加体の陸上延長から日本の造山運動の基本的なプロセスなどについて言及する。

<7月以降のテーマ予定>
4. 伊豆・小笠原海溝にもぐる(映像あり)
 日本の代表的な海溝の3つ目。八ヶ岳から南に1200㎞続く島弧―海溝系の潜航の話。クジラの骨に見られる生物群集やマリアナに代表的に出現する蛇紋岩海山、海底の熱水系など。深海掘削によってこの島弧の成長過程が明らかになったこと、これらの島弧は北上して本州に衝突して南部フォッサマグナを形成したことなどを解説。

5. マリアナ海溝にもぐる(映像あり)
 マリアナ海溝は蛇紋岩海山と熱水系が特徴。蛇紋岩海山からは地下深くの情報が得られること、熱水系では海底資源や化学合成生物に関する情報が得られることを話す。世界最深部チャレンジャー海淵に関してその底にも生物が確認されていることや探検史に着いても触れる。

6.パラオ・ヤップに潜る(映像あり)
マリアナ海溝の西の延長である小さな海溝。パラオでは陸上の隆起石灰岩が深海6500m以上の深さまで落ち込んで不思議な世界を作っていることを知る。ヤップは奇妙な風習を持つ島で陸上もほかの島弧とは違った地質から成る。海底では地殻とマントルの境界を潜水船で通過した。パラオの西にあるアユトラフで見つかったヤドカリも。


7. 大西洋に潜る (映像あり)
 大西洋中央海嶺の北緯26度にある世界最大のTAG熱水マウンド「ラピュタ」での2回に亘る潜航の結果、巨大なマウンドの形成機構が明らかになった。深海でも12時間変動が観測された世界で2番目の報告。熱水系の4年に亘る変遷など詳細な研究の結果を解説。TAGの北にあるレインボウやロストシティに着いても触れる。

8. 東太平洋に潜る (映像あり)
 世界最速(年間15cm)の拡大を続ける南半球の東太平洋海膨にもぐる。海膨と言いながら頂上にリフトがあったり、高速ゆえの重複拡大や麓にある大量の海山などを語る。潜水船で海嶺の重複拡大部を横断した。1年間にわたる海底の流れの観測、深海生物の幼生を放出する現場などについて紹介。

9.インド洋に潜る (映像あり)
最後の中央海嶺であるインド洋。世界初の潜航では熱水系を見つけることはできなかったが、メガムリオンという構造の観測ができたこと、その後活動的な熱水系が「かいこう」によって発見され奇妙な生態系がみつかった話。3つの海溝が1点で交わるロドリゲス海嶺三重点での観測の結果などを話す。

10.琉球海溝に潜る (映像あり)
 琉球海溝では活動的な熱水のたくさんできている沖縄トラフの様々な熱水系と陸側斜面に見られる舗装型のマンガンついて解説。またメタンハイドレートの出てくる黒島海丘など、中国大陸との関係を説明する。琉球は日本列島の成り立ちを考える上や人類や生物の伝搬についても貴重な地域である。

11.相模湾に潜る (映像あり)
日本の海洋研究にとって重要な場所であるという認識を持ってもらう。海底の化学合成生物群集、巨大地震の巣と地震によって発生した土石流、陸に近い深海で珍しい生物がたくさん存在し、日本の海洋生物研究の発祥の地でモースが行った研究などを紹介する。湾の中に流れ込む大量の漂着物についても現有する。30分のビデオはこれらの広報活動のビデオで、概略が良くわかると思う。

12.海洋の生物や資源 まとめとして海洋はどうしてできたのか、海洋はこれからどうなるのか
海洋の生物や金属資源についてのまとめ。琉球や伊豆・小笠原では熱水系の話。相模湾は陸上に最も近い深海の様子を潜水船以外に表層の調査などから解説。最後に資源と生物のまとめを行う。時間が許せば海洋はどうしてできたのか(どのようにしてできたのか)、また今後の海洋に着いて、マイクロプラスチックや金属資源の将来について言及する。

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受付一時中止

注意事項

■新宿教室の休業にともない、4/21は休講いたします。補講等については決まり次第お知らせいたします。(※調整中のため、1/1は仮の日程です。)

日程
2020/5/19, 6/16, 1/1
曜日・時間
第3 火曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 
その他
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

藤岡 換太郎(フジオカ カンタロウ)
1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士(東京大学)。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバル・オーシャン・ディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構(JAMSTEC)特任上席研究員などを歴任。神奈川大学や放送大学で非常勤講師。
潜水調査船「しんかい6500」に51回乗船。三大洋人類初潜航を達成。海底地形名委員会での功績から2012年海上保安庁長官表彰を受ける。著書に『深海底の科学』(NHKブックス)『海はどうしてできたのか』『山はどうしてできるのか』『川はどうしてできるのか』『フォッサマグナ』『三つの石で地球がわかる』(いずれも講談社ブルーバックス)『海がわかる57の話』(誠文堂新光社)『相模湾 深海の八景―知られざる世界を探る』『日本海の拡大と伊豆弧の衝突(共著)』(いずれも有隣堂)『深海底の地球科学』(朝倉書店)など多数。