英国EU離脱の混迷と欧州統合

  • 庄司 克宏(慶応義塾大学教授)
講師詳細

<2/15 メイ政権とブレグジット>
 2016年の国民投票後に首相となったメイ女史は、保守党内の強硬派に配慮しながら慎重にブレグジット交渉を進めるかに見えたが、2017年総選挙で少数与党に転落した結果、北アイルランド地域政党DUPの閣外協力がなければ政権を維持できない状況に陥った。これは、その後の対EU交渉を著しく制約することとなり、交渉は難航した。ようやくEUとの間で合意した離脱協定と将来関係政治宣言は、それを支持する党内勢力のほか、合意なき離脱、ソフトな離脱、EU残留という勢力がイギリス議会内に党派横断的に存在したため、ついに議会承認を得られなかった。とくに北アイルランド国境問題に対するバックストップ(安全策)が問題視され、結局メイ首相は辞任に追い込まれたのである。以上のような経緯を英EU交渉プロセスを回顧しながら、メイ首相の失敗の原因を探る。    

<2/22 ジョンソン政権とブレグジット>
 2019年7月に誕生したボリス・ジョンソン政権は、閣内を強硬離脱派で固め、合意なき離脱も辞さないという方針を貫いた。しかし、合意なき離脱に反対する党派横断的勢力の結集により、合意離脱を達成できなければ離脱延長することを議会から義務づけられ、解散総選挙という手段も封じ込められた。その結果、ジョンソン首相は、北アイルランド国境問題のバックストップに代わる策を含む合意離脱をめざすほかなくなった。結局、イギリスは、ブレグジットに伴う単一市場・関税同盟からの離脱と、北アイルランド和平の両立という困難な課題を十分に解決できないまま、国内政治の混迷に陥った。それらを踏まえて、ブレグジットの結末と英EU将来関係を展望する。                                    (講師・記)

お申し込み
日程
2020/2/15, 2/22
曜日・時間
土曜 13:00~14:30
回数
2回
受講料(税込)
会員 6,600円 一般 7,920円
その他
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

庄司 克宏(ショウジ カツヒロ)
1957年和歌山県生まれ。1980年慶應義塾大学法学部卒業後、同大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。二松学舎大学専任講師、助教授、ケンブリッジ大学客員研究員、横浜国立大学大学院助教授、教授、欧州大学院大学客員研究員等を経て、現在、慶應義塾大学大学院法務研究科教授およびジャン・モネEU研究センター所長。専門は、EUの法と政策である。主な著書として、『欧州の危機―Brexitショック』(東洋経済新報社)、『はじめてのEU法』(有斐閣)、『欧州連合 統治の論理とゆくえ』(岩波新書)、『新EU法 基礎篇』『新EU法 政策篇』(岩波書店)など多数。2002年、EUからJean Monnet Chairの称号を授与されている。前・日EU関係有識者委員会委員。