「失われた時を求めて」を新たに読む

  • 吉川 一義(京都大学名誉教授)
講師詳細

 プルーストの母親はユダヤ人で、作家自身は同性愛者であった。にもかかわらず『失われた時を求めて』にユダヤ人や同性愛者を揶揄する言辞が多いのは、なにゆえか。同じ同性愛でも、ソドム(男性)とゴモラ(女性)で描きかたが異なるのは、どうしてなのか。
 コンブレーの少年は母親からお寝みのキスを得ようとして自分を危険にさらす。スワンも「私」も、嫉妬を募らせて、自身を窮地に追いやる。このようなわが身に苦痛を与えるサドマゾヒズムと言うべき行為が『失われた時を求めて』に溢れているのは、なぜなのか。
 拙訳『失われた時を求めて』の完結にあたり、このような問いに答えることによって、本長篇の新たな読みかたを2回にわけて提示したい。    (講師・記) 

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注意事項

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日程
2020/1/18, 2/15
曜日・時間
第3週 土曜 15:30~17:00
回数
2回
受講料(税込)
会員 6,600円 一般 7,920円
持ち物など
<テキスト> プルースト作/吉川一義訳 『失われた時を求めて』(岩波文庫、全14巻)から引用を抜粋したプリントを配布します。 

講師詳細

吉川 一義(ヨシカワ カズヨシ)
 1948年大阪生まれ。東京大学文学部仏文科卒。同大学院博士課程満期退学。フランス政府給費留学生としてパリ・ソルボンヌ大学、高等師範学校に留学、文学博士号取得。とくにプルーストの小説の成立過程や絵画との関係などについて研究。主な著書に『ディコ仏和辞典』(共編、白水社)、『プルースト書簡集総合索引』(仏文、共編、京大出版会)、『プルースト美術館』(筑摩書房)、『プルーストの世界を読む』(岩波書店)、『プルースト「スワンの恋」を読む』(白水社)、『プルーストと絵画』(岩波書店)、Dictionnaire Marcel Proust (共編、Champion)、Proust et l’art pictural(Champion、2011年カブール=バルベック・プルースト文学サークル文学賞、2012年学士院賞・恩賜賞受賞)。2010年アカデミー・フランセーズ(仏学士院)より学術大賞「フランス語フランス文学顕揚賞」を受賞。プルースト『失われた時を求めて』を全訳(岩波文庫、全14巻、2010-2019)。