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基礎から学ぶ日本仏像史
- 教室開催
- 松田 誠一郎(東京芸術大学教授)
今回の講義では、鎌倉時代(1185ー1333)の仏像と、唐檀像と唐風木彫像について講義します。
前半3回は、鎌倉時代の大仏師、運慶(?-?)の作品について講義します。第1回はデビュー作の円成寺大日如来像(1176年)と大きな展開を示す東国の作例・願成就院の諸像(1186年)、第2回はモニュメンタルな巨像、東大寺南大門の金剛力士像(1203年)、第3回は運慶彫刻の帰結点である興福寺北円堂諸像(1208年)を取り上げます。運慶作品を年代順に紹介して、その作風変遷を跡づけるとともに、運慶彫刻の特質について考察します。
後半3回は、中国・唐代に制作された檀像彫刻と、顕著な唐風を示す木彫像を取り上げ、傑出した技巧を示すエキゾチックな木彫像の魅力に触れます。
第4・5回は、奈良県多武峰に伝来した東京国立博物館の十一面観音像(唐・7世紀後半)と法隆寺の九面観音像(唐・7世紀後半)の2体の檀像(ビャクダン製の細密彫刻)に焦点を当て、両像を比較しながら、それぞれの造形的な特徴や経典に説かれる造像法との関係について詳しく解説します。
第6回は、京都・宝菩提院に伝わった菩薩踏下像に焦点を当て、その造形・技法の特徴を解説した上で、平安遷都の際に京都・広隆寺に安置された「霊験薬師仏」との関係に着目しながら、その制作背景について推論を展開します。
授業では、各作品の特徴や歴史的な背景をスライドと資料を用いて詳説するとともに、全体を通して、鎌倉彫刻や唐製檀像・唐風木彫像のもつ魅力や特徴が理解できるよう配慮します。
(講師・記)
<スケジュール>※スケジュールは変更になる場合がございます。
1、運慶の彫刻(1) 円成寺大日如来像・願成就院の諸像
2、運慶の彫刻(2) 東大寺南大門の金剛力士像
3、運慶の彫刻(3) 興福寺北円堂の諸像
4、東京国立博物館の十一面観音像(多武峰伝来)
5、法隆寺の九面観音像
6、山背遷都と霊験薬師仏像―宝菩提院菩薩踏下像との関係を中心に―
<テキスト>
水野敬三郎『奈良・京都の古寺めぐり 仏像の見かた』(岩波ジュニア新書89)、岩波書店、ISBN:4-00-500089-4
※各自ご用意ください。
- 日程
- 2023/1/10, 1/17, 1/31, 2/7, 2/21, 3/7
- 曜日・時間
- 火曜 13:00~15:00
- 回数
- 6回
- 受講料(税込)
- 会員 19,800円
- 教材費(税込)
- 教材費 660円
- 設備費(税込)
- 990円
- 持ち物など
- <テキスト>
水野敬三郎著『奈良・京都の古寺めぐり 仏像の見かた』(岩波ジュニア新書89、岩波書店)は各自ご用意ください。
- その他
- ※教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。
・今期は日程が変則的です。ご注意ください。
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講師詳細
- 松田 誠一郎(マツダ セイイチロウ)
- 1960年、東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業、東京芸術大学大学院美術研究科修士課程終了。1984年から東京芸術大学美術学部非常勤講師、89年第1回国華賞、90年東京芸術大学より学術博士の学位取得。91年~99年京都市芸術大学美術学部専任講師、99年より東京芸術大学美術学部専任講師、2001年から准教授、2012年から教授。著書は『東大寺と平城京 日本美術全集第4巻 奈良の建築・彫刻』共著(講談社)、『カラー版 日本美術史』共著(美術出版社)、『週刊朝日百科 日本の国宝15京都/広隆寺』責任編集(朝日新聞社)、『醍醐寺大観 第1巻 建築・彫刻・工芸』共著(岩波書店)など多数。