建築の日本ものがたり(全6回)
  • オンライン講座

  • 第1回:篠原一男 白の家
  • ©下村しのぶ
  • 倉方 俊輔(大阪公立大学教授)
講師詳細

建築の分かりやすい解説で定評のある倉方俊輔さんによるオンライン講座です。

1)10/1 篠原一男
篠原一男は、高度成長期から建築界における独特の存在であると同時に、以後の建築潮流に幅広い影響を与えた重要人物です。今に続く「現代建築」を開始した建築家の一人と言えます。
作品からその歩みをたどります。「から傘の家」(1961年)や「白の家」(1966年)は、機能主義や合理主義では説明できない作品の存在感によって、「住宅は芸術である」という自身の言葉を裏付けました。日本の伝統を彷彿とさせる形は、1970年前後から一転して姿を消し、鉄筋コンクリートによる抽象的な空間が追究されます。そして「上原通りの住宅」(1976年)や「高圧線下の住宅」(1981年)では即物的で、一つの像を結ばない形態へ。それは住宅以外の「東京工業大学百年記念館」(1987年)などの作品に結びつきます。
伊東豊雄や長谷川逸子といった現代の建築家に大きな刺激を与えた篠原一男の展開を、ご理解ください。

2)10/15 鬼頭梓 ※この回は録画した映像を配信します。
鬼頭梓は、図書館建築の名手として知られます。1950年に前川國男の設計事務所に入所し、神奈川県立図書館・音楽堂や国立国会図書館などを担当。1964年に独立して設計事務所を構え、2008年に没するまで30を超える図書館を設計しました。
1973年に開館した「山口県立山口図書館」は、同年の「日野市立中央図書館」と共に、高い評価を決定づけました。館内に入ると、光あふれる大きな空間が印象的です。構造設計者とアイデアを出し合い、数本の柱以外には間仕切りのない、開放的なスペースが成立したのです。
鬼頭梓は、建築の機能性と人間性が一つになることを、数多くの図書館や美術館などを通じて、証明し続けました。前川國男的なものを受け継ぎながら、高度成長後の社会にも応えているのです。このような建築家がいたことを、知っていただきたいと思います。

3)11/5 菊竹清訓 
才気あふれる建築家、菊竹清訓の作品をできるだけ多く紹介したいと思います。
「メタボリズム」とは、生物の新陳代謝を意味する言葉です。1960年に東京で開かれた世界デザイン会議で「メタボリズム・グループ」が旗揚げした時、「新陳代謝する建築」に最もふさわしい実作を生み出していたのは、まだ30代初頭の菊竹清訓でした。
自邸である「スカイハウス」(1958年)は、鉄筋コンクリート造の正方形の箱が4本の壁柱で空中高くに持ち上げられて、取り外し可能な浴室・台所・収納といった生活装置が組み込まれ、子ども室もピロティ部分に吊り下げられる、ライフスタイルの変化に対応する住宅でした。
その後の「出雲大社庁の舎」(1963年)、「ホテル東光園」(1964年)、「都城市民会館」(1966年)などの名作がどのようなものであり、その背後にいかなる思想があったのか。骨太な作風を、あまり知られてない作品も含めて解説します。

4)11/19 池原義郎 
池原義郎は、大胆な着想と繊細な細部を併せ持った建築家です。「西武ドーム」(1979年)は、地面を掘り下げ、その斜面をスタンドとしたものです。
床のレベルを変化させることで、外部とより自然な関係をつくる手法は、昭和の名喫茶として知られる都立家政の「つるや」(1969年)でも使われています。どこか北欧を思わせるインテリアも素敵で、50年以上前のデザインとは信じられないでしょう。
早稲田大学で今井兼次らに学び、教授となって後進を育成した池原は、モダニズムの工業性と工芸性とを併せ持った作風を展開しました。そのことが「所沢聖地霊園 礼拝堂・納骨堂」(1973年)をはじめとした、タイムレスな名作につながっています。
時代の潮流に分類しにくいからこそ、一作一作の面白さに今回、触れていただきたいと思います。「ガレリアかめおか」(1998年)や「唐戸市場」(2001年)といった後期の作品もまた良いのです。

5)12/3 槇文彦
槇文彦は、建築界のトップを60年以上、走り続けている建築家です。
建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受けたのは1993年。日本人建築家としては、師である丹下健三についで2人目でした。その時点でも作風が注目される建築家であり、94歳となった今も新作を生み続けています。
モダニズムの継承者とされる槇文彦ですが、その作品歴にはいくつかの変節点があります。キャリアの中で変わったもの、変わらないものに着目しながら、「名古屋大学豊田講堂」(1960年)などの初期作品やメタボリズム・グループとの関わり、長い時間をかけてつくられていった「ヒルサイド・テラス」(1969年〜)の変遷、母校である慶應義塾に建てた「慶應義塾図書館新館」(1981年)をはじめとした歴史主義との上手な付き合い方、「幕張メッセ」(1989年)などの巨大施設における破綻のなさの理由、「風の丘葬斎場」(1997年)をはじめとした現代性との接点などを説明します。

6)12/17 林昌二・林雅子 
林昌二は、戦前の大阪を発祥とする日建設計を、現在のような日本を代表する組織事務所にするのに大きく貢献した建築家です。林雅子は、室の高い作品を通じて、女性として初めての日本建築学会賞を受賞するなど、戦後に本格的に登場した女性建築家の草分けとなった人物です。共に東京工業大学で清家清に学び、異なる作風を切り拓いていた二人を、今回はあえて一緒に扱いたいと思います。
林昌二がチーフアーキテクトとして設計を行った「三愛ドリームセンター」(1962年)、「パレスサイドビルディング」(1966年)は、最新の技術と根源的な思考を通じて、社会的な責任を担っています。それが今も爽やかなのです。
夫である林昌二よりも、林雅子のほうが先に一連の住宅で有名となりました。住宅以外の作品である「海のギャラリー」(1966年)にも、大胆な空間操作や色彩利用が共通しています。
ビルも住宅も建築でありえることを切り拓いた二人について、共に暮らした共作である「私たちの家」(1955・1978年)を間に置きながら、その時代を語りましょう。


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1)10/1 篠原一男
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2)10/15 鬼頭梓
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4)11/19 池原義郎 
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5)12/3 槇文彦
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/3778085c-d07f-3068-c253-630d6985f140

6)12/17 林昌二・林雅子 
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日程
2022/10/1, 10/15, 11/5, 11/19, 12/3, 12/17
曜日・時間
土曜 10:00~11:00
回数
6回
受講料(税込)
会員 13,860円 一般 17,160円

講師詳細

倉方 俊輔(クラカタ シュンスケ)
建築史家。大阪公立大学大学院工学研究科教授。1971年東京都生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。建築の見どころを分かりやすく説き明かすことで定評があり、著書に『神戸・大阪・京都 レトロ建築さんぽ』『東京モダン建築さんぽ』『東京レトロ建築さんぽ』(いずれもエクスナレッジ)、柴崎友香さんとの共著『大阪建築みる・あるく・かたる』甲斐みのりさんとの共著『東京建築みる・あるく・かたる』(いずれも京阪神エルマガジン)、『吉阪隆正とル・コルビュジエ』(王国社)などがある。