カズオ・イシグロを英語で読む

  • 川本 皓嗣(東京大学名誉教授)
講師詳細

 2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロは、1954年に長崎で生まれた日系イギリス人の小説家です。それに先立って、1989年には権威あるイギリスのブッカー賞も受けています。彼は主として『日の名残り』、『わたしたちが孤児だったころ』(2000)、『私を離さないで』(2005)などの長編小説で知られていますが、この講座では唯一の短編小説集『夜想曲集--音楽と夕暮れをめぐる5つの物語』Nocturnes: Five Stories of Music and Nightfall(2009)を読みます。
 ただしこの本はよくあるように、長編執筆の合間に書かれたばらばらの小品を集めたものではなく、あらかじめよく練り上げられた構想のもと、たがいにゆるやかな連携を保ちながら、まとまった全体を構成するように(そう読まれるように)意図された作品です。その結びの糸としてとりあえず頭に浮かぶのは、夕暮れ、音楽、一人称の語り、中年にさしかかった(中年の)男と女、人間関係の微妙な岐れ目などでしょうか。人物や場所が重なって出てくることもあります。口語体の英語はきわめて平明で美しく、作者は翻訳で損なわれるような恐れのある表現は一切避けたと言っています。授業はおなじみの「講読」形式で、講師が1センテンスずつ朗読し、丁寧に解釈していきます。質問はいつでも随意です。 (講師・記)

この講座は、ご入会が必要です。会員でない方は、ご入会の手続きをお願いいたします。

お申し込み
日程
2019/10/2, 10/16, 10/30, 11/6, 11/20, 12/4, 12/18
曜日・時間
第1・3・5 水曜 13:00~14:30
回数
7回
受講料(税込)
会員 23,100円 
持ち物など
<テキスト>各自でご準備ください。
「Nocturnes: Five Stories of Music and Nightfall」 faber and faber 社刊 【ISBN】978-0571245017
https://www.amazon.co.jp/dp/0571245005
2019年12月18日は167ページの1行目“Two men ~”から読みますので、それまでの箇所を翻訳などで読んでおいてください。

講師詳細

川本 皓嗣(カワモト コウジ)
1939年大阪市生まれ。東京大学名誉教授。トロント大学東アジア学部客員教授、インディアナ大学高等研究所フェロー、中国社会科学院学術顧問などを歴任。2000年東京大学を退官後、帝塚山学院大学教授を経て、2004年から2012年まで大手前大学学長。日本学士院会員。主な著書に、『日本詩歌の伝統――七と五の詩学』、岩波書店、1991(1992年度小泉八雲賞、サントリー学芸賞)。『岩波セミナ―ブックス75:アメリカの詩を読む』岩波書店、1998。『アメリカ名詩選』(共著)岩波文庫、93。『阪神文化論』(共編著)思文閣出版、2008。『ヴィクトリア朝英国と東アジア』(共編著)思文閣出版、07。『翻訳の方法』(共編著)東京大学出版会、97。『芭蕉解体新書』(共編著)雄山閣出版、97。テリー・イーグルトン『詩をどう読むか』 How to Read a Poem(翻訳)岩波書店、2011など。一国の枠内では扱いきれない文学・文化の国際的な交流や相関関係を考察する比較文学比較文化を専攻し、研究対象は主として東西の詩と詩学、文学理論など。目下は、一般に<詩とは何か>という視点から、日本(和歌、連句、俳句、近・現代詩、翻訳詩)・欧米・中国の詩と詩学を研究している。