魅惑のイタリア・ルネサンス庭園
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  • 桑木野幸司講師
  • 桑木野 幸司(大阪大学栄誉教授)
講師詳細

 ミケランジェロやラファエロらが活躍したルネサンス時代のイタリアはまた、庭園芸術の最先端の地でもありました。中世までの小規模な庭を囲う壁が取り除かれ、広大な風景に開かれた魅惑的な美苑・奇園が半島の各地につくられてゆきます。丘陵地にテラスを重ね、豊富な水を使った噴水が並び、人工洞窟や自動機械人形、古代彫刻、珍花奇葉・珍獣奇鳥といった要素に満ち溢れた当時の庭は、現代のテーマパークの原形ともいえる空間でした。本講義では、イタリア・ルネサンス庭園の発展プロセスをおいかけながら、庭園史という学問のおもしろさをお伝えしたいと思います。(講師・記)

今期のカリキュラム
第七回:ヴィッラ・ジューリアとヴィッラ・カステッロ:庭園における地誌の再現
ブラマンテとラッファエッロによって先導されたローマにおける庭園芸術の革新は、1527年のローマ劫略事件でいったん中断します。そこからの復活の烽火となったのが、教皇ユリウス3世が1550年代前半にローマ郊外に建設したヴィッラ・ジューリアでした。
一方で、それよりも少し前の1530年代末、トスカーナ地方において、フィレンツェ公コジモ一世・デ・メディチがヴィッラ・カステッロ庭園の造営を開始しました。
豊かな水と彫刻と植栽に飾られたこれらの両庭園は、イタリア・ルネサンス式庭園の成熟を示すとともに、庭園における地誌の再現という、重要な造園手法が試された最初期の事例でもあります。園内に、周辺地域ないしは支配領土をミニチュア模型として再現するこうした手法は、それ以降の庭園デザインにも大きな影響を与えました。
本講義では写真と動画を交えながら、ローマとフィレンツェの傑作庭園を堪能します。
(この回動画あり)

第八回:「庭の掟」と庭園の一般公開:ローマの事例を中心に
今回は、これまでの通史の流れを追う作業をいったん離れ、16世紀イタリア、特にローマの
珠玉の庭園たちが、いったいどのように使用され、鑑賞されていたのか、にスポットを当てます。
これまでに見てきた数々の名園、そしてこの後の回で取り上げてゆく美苑・奇園たちは、実は、原則として一般公開されていました。それが「庭の掟」と呼ばれる習慣です。特に古代彫刻のコレクションがブームとなり、自慢の逸品が庭園に多数ディスプレイされていたローマでは貴族たちは積極的に、自分たちの庭を公開し、貴人や芸術家、学者などの訪問を受け入れていました。それは貴紳の義務であると同時に、己のステータスや文化的素養を庭を通じてアピールする手段でもありました。
本講義では、そうした「庭の掟」の諸相を、ローマの庭園を中心に詳しく見てゆきます。

第九回:天と地の交わる場所:植物園の誕生と占星術的園芸学
16世紀イタリアの王侯貴紳たちの庭園では、珍しい植物や動物が熱心にコレクションされていました。
アジア諸国やアメリカ大陸から取り寄せた標本もあったといいます。やがてこの流れは、
1540年代中ごろに、大学付属の植物園の建設へと行きつきます。ピサとパドヴァに真っ先に造営された植物園は、教育と研究を目的とする公的施設としては、ヨーロッパで初めての近代的植物園といえる事例でした。
けれどもこの学術庭園は、決して近代科学の専門研究に特化した空間ではなく、同時代の娯楽庭園との類似性を多数有していました。また、当時の植物学は占星術とも強い結びつきを持っており、そうしたオカルト的な思想・知識は、黎明期の植物園にもはっきりと刻印されています。本講義では、一般的な庭園史ではとりあげられることのない植物園にスポットをあて、花壇の形に込められた様々な思考や美学を明るみに出すことで、イタリアの庭園文化の知られざる豊かな側面を掘り下げてみます。

<参考資料>本講義の内容以下の著作をベースにしております。
桑木野幸司『ルネサンス庭園の精神史:権力と知と美のメディア空間』(白水社、2019年)
※朝日カルチャーでは販売していません。ご入用の場合は各自、書店でお買い求めください。

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日程
2022/1/12, 2/9, 3/9
曜日・時間
第2週 水曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 11,550円

講師詳細

桑木野 幸司(クワキノ コウジ)
1975年静岡県浜松市生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程・単位取得退学、ピサ大学美術史学科博士課程修了(博士:Dottore di Ricerca in Storia delle arti visive e dello spettacolo)。現在、大阪大学文学研究科教授。学術振興会賞受賞。『ルネサンス庭園の精神史』(白水社)でサントリー学芸賞受賞。他の著書に『記憶術全史:ムネモシュネの饗宴』(講談社メチエ)、『叡智の建築家:記憶のロクスとしての16-17世紀の庭園、劇場、都市』(中央公論美術出版)他。