天皇と戸籍 家、王権、そして日本

  • 遠藤 正敬(早稲田大学講師)
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戸籍は「日本人」の証明とされている。だが、「日本」の象徴とされる天皇は決して戸籍をもつことがない。この事実は一体、何を意味するのか?そこから次々と疑問があふれ出してくる。天皇は「日本国民」なのか?天皇家の身分登録はどうなっているのか?天皇家の結婚や養子は一般国民とどう異なるのか?等々。天皇制と戸籍は、ともに「日本独自の伝統」として生き続け、「日本人」の精神を左右してきた。家父長制、祖先崇拝、氏と姓、非嫡出子差別などの戸籍を支えてきた思想を考える時、それらが天皇家の“家憲”と深く結びついていることがわかる。天皇と戸籍の関係を歴史的にたどることで、みえてくる「日本」がある。(講師記)

第4回 天皇は「国民」か?「住民」か?
 天皇および皇族は「日本国籍」なのか?天皇家には「日本国民」の証明となる戸籍がない。そもそも彼らは「日本国民」に含まれるのか?一般国民がもつべき基本的人権は彼らにも認められるのか?これらの問題は、戦前は憲法学などにおいて自由に解釈を加えることは困難であった。現在の学説ではどのように論じられているのか。
また、天皇および皇族は日本国の「住民」に含まれるのか?住民票やマイナンバーはあるのか?日常においてほとんど意識されないこうした天皇家の「日常」の問題について検討してみたい。

第5回 天皇家の家族法
一般国民の婚姻、離婚、養子縁組、成年などの家族関係に関しては、戸籍法および民法によって規定されている。一方、天皇家にはそれらの法律は適用されない。その代わり、古代では律令によって、明治以後は皇室典範をはじめとする幾多の皇室法によって処理されてきた。
一体、天皇家の家族法は一般国民の家族法どのような違いがあるのか?養子や非嫡出子はいかに扱われるのか?家族法に現れた天皇家特有の規範や思想について歴史的にさぐってみる。

第6回 天皇家の結婚
 日本における婚姻は、戸籍への届出によって成立する。だが、天皇家の婚姻は、一般国民のように個人の自由とはされていない。秋篠宮眞子内親王の例をみればそれは明らかである。また、皇族の婚姻は男女によって大きく扱いが異なる。
天皇家における婚姻は、皇位継承者となる男系男子を確保するという目的が第一である。そのために一夫多妻制も明治天皇まで公認されていた。では、具体的に天皇家の婚姻にはどのようなルールが存在してきたのか?一般国民との婚姻により皇籍を離脱する皇族女子の戸籍はいかに作られるのか?「結婚」という切り口から、天皇と戸籍の関係を問い直す。

お申し込み
日程
2021/7/26, 8/30, 9/20
曜日・時間
月曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 13,200円
設備費(税込)
495円

講師詳細

遠藤 正敬(エンドウ マサタカ)
1972年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員。早稲田大学、宇都宮大学等非常勤講師。専攻は政治学、日本政治史。著書に『天皇と戸籍-「日本」を映す鏡』(筑摩選書、2019)、『戸籍と無戸籍-「日本人」の輪郭』(人文書院、2017)、『戸籍と国籍の近現代史-民族・血統・日本人』(明石書店、2013)、『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍-満洲、朝鮮、台湾』(同、2010)等。