日本史の定説を疑う

  • 本郷和人講師
  • 本郷 和人(東京大学教授)
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 歴史には、ご存じのように定説があります。これは多くの研究者が「うん、それでいいだろう」と納得し、共有している解釈です。ですが、研究者でも誤った判断をすることはある。先生の言うことを鵜呑みにしたり、多数派に従ってしまうこともあります。
 こうしたことを踏まえてみると、私たち研究者に必要なのは、定説だから正しい、と決めつけるのでは無く、それは本当に正しいか、別の考え方はできないか、と常に検証する姿勢でしょう。様々な検証に耐えてこそ、定説は確固たる「真の定説」になり得るのです。
 そこでこの講座では、定説として語られることに、ぼくなりの疑いをぶつけてみたいと思います。昔からの定説も、ここ十年くらいでできあがった新しい定説も、とりあえず疑ってみることから始めて、正しい歴史理解へとつなげていきましょう。(講師・記)

第1回 鎌倉幕府はいったいいつできたのか
 鎌倉幕府の成立年次というと、1192年説が先ず唱えられ、いまは1185年説が教科書に載っています。ところが、実際に研究者に尋ねてみると、1185年説を強力に唱えている人が見当たらない! これはおかしい。ではいつならば、いいのでしょうか。

第2回 北条時宗は救国の英雄なのか
 日本は他国からの侵略を受けていない国ですが、その例外が鎌倉時代の二度の元寇です。この時に幕府執権を務めていたのが北条時宗で、彼のリーダーシップがモンゴルを撃退するために有効だった、ということになっているようです。では実際はどうなのでしょう。
 
第3回 応仁の乱は将軍家の家督争いが真因か
 8代将軍の足利義政は子どもができなかったので、弟の義視を将軍とする約束をした。ところがそのあとすぐに実子・義尚が生まれたため、幕府は義尚を次代将軍に推すグループと義視を推すグループに分裂。応仁の乱が開始されたとありますが、本当でしょうか?

第4回 天下布武の「天下」とは何か
 最近、信長がいう「天下」とは京都とその周辺に限られるのだ、信長は日本統一などを目的としておらず、京都周辺の秩序の回復をめざす「中世的な」存在に過ぎないという解釈が支持を集めています。でも、やはり、「天下」は日本列島全体指す言葉なんです・・・。

第5回 江戸幕府ができたのは1603年か
 徳川家康は1603年に征夷大将軍に任じられた。つまり、江戸幕府の成立はこの年だ、というのですが、ちょっと待って下さい。鎌倉幕府も室町幕府も、将軍就任=幕府成立、ではなくなりましたよね。なぜ、江戸幕府だけ昔のまま?

第6回 鎖国はなかったのか
 近世の研究者は「江戸時代に鎖国は無かった」といいます。ペリーは明らかに「鎖国している日本を開国させよ」との指令を受けていた。ジャガタラお春は、帰国できなかった。大黒屋光太夫は帰国できたけれど、不自由な生活を強いられた。なぜ?

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日程
2021/1/8, 1/22, 2/12, 2/26, 3/12, 3/26
曜日・時間
金曜 10:30~12:30
回数
6回
受講料(税込)
会員 19,800円 
その他
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

本郷 和人(ホンゴウ カズト)
1960年東京の下町に生まれ、下町に育つ。83年東京大学文学部卒業。86年、東京大学大学院人文科学科修士課程修了。88年東京大学大学院人文科学科博士課程単位取得。子どもの頃から歴史物語が大好き。いつの間にかそれが仕事になっていた。同業者で美人の妻(本郷恵子さん)との間に一男(タクトくん。ただし指揮者になる予定はない)一猫(黒猫アルトくん。ただし唱わない)あり。著書に『人物を読む日本中世史』(講談社)ほか多数。