包摂と排除から見るアメリカ史24講 1763~2020

  • 金井 光太朗(東京外国語大学名誉教授)
講師詳細

 "All men are created equal.” がアメリカのシステムの基軸です。極めて包括的ですが、実は根深い排除を潜ませています。All MenはWhite menなのか、Womenを含むのか。排除の結果、アメリカの社会システムでは男性的な勝ち負けを究極の目標としました。
 ‘'All men‘'=「 全ての人」 が起業に邁進できるかのように市場基盤の整備が進み、意欲と能力を持つ人が活躍できる社会が到来したように見えました。———民主主義と資本主義の発展、国土の拡大、西部開拓、そして移民の流入…。 しかし、「全て」への参加拡大には悲惨な排除が伴っていました。ダイナミックな発展は分断差別も強化し、南北戦争、人種の隔離、インディアンの居留地押し込めなども惹き起こしていくことになります。排除された人々は受け身でただ競争参加を求めているのではありません。真の「全て」を包括した社会は勝ち負けをのり超えることを目指しています。この講義では、競争的なアメリカにおけるマイノリティの排除と包括を共生社会創成の観点から24回にわたって講義します。(講師・記)

〈スケジュール〉※テーマ名を変更することがございます。予めご了承ください。
第Ⅰ期 アメリカらしさを求めて(1763年~1840年) 
第1回 アメリカ独立—イギリス帝国の善意と自由を獲得するアメリカ
第2回 共和国の平等な市民と無私の賢人:バージニア・ダイナスティの政治
第3回 All men created equalの問題:“and women”を求めて
第4回 カナダはいつ合衆国へ?:米英戦争による第2の独立と協力体制
第5回  いよいよ起業社会へ:自由な競争の基盤とは?
第6回 キング・モブのアメリカ:ジャクソン当選と大衆参加の政治

〈今後予定しているテーマ〉※変更する場合がございます。予めご了承ください。
Ⅱ.多から一へ(e pluribus unum)
第1回 インディアンの主体性
第2回 南北戦争への道(1850年代に後戻りできない事態の積み重ねで分裂へ)
第3回 内乱という構成と合衆国の新生
第4回 占領改革のトラウマと人種分離体制の構築
第5回 移民労働者のエスニック連帯と分断:階級とアメリカン・ドリーム
第6回 カラー・ブランドを生きる困難(人種平等を個人の能力だけで実現の苦闘)

Ⅲ.自己実現の支え
第1回 無償の土地とゴールド・ラッシュとカウボーイ:個人のチャンスも大企業へ交替
第2回 デパート・通販・チェーンストア:消費生活の夢
第3回 レセ・フェールの軛脱却: セオドア・ローズヴェルトの福祉政策実現の技
第4回 フォードの日給5ドル制:大量生産による生活変容
第5回 女性参政権獲得をこえて:憲法平等条項修正を求めて
第6回 「ブラック・ナポレオン」とハーレム・ルネサンス:マーカス・ガーヴェイの主体性

Ⅳ.システムの問い直し
第1回 ブルーとレッドの転換
第2回 キングとマルコム:アフリカンでアメリカンの尊厳回復
第3回 『フェミニン・ミスティーク』:ジェンダー問題の意識化
第4回 文化戦争:(西洋由来の)普遍的価値と多文化主義
第5回 コスパの経営と新自由主義:『ウォール街』の問いかけ
第6回 ブラック・ライブズ・マター:システミック・レイシズムからの解放

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お申し込み
日程
2020/10/15, 10/29, 11/5, 11/19, 12/3, 12/17
曜日・時間
木曜 10:30~12:00
回数
6回
受講料(税込)
会員 19,800円 
持ち物など
・当日、プリントを配布します。
その他
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

金井 光太朗(カナイ コウタロウ)
1953年生まれ。東京外国語大学名誉教授。専攻はアメリカ政治史。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中退、米国ブラウン大学留学。著作『アメリカにおける公共性・革命・国家』(木鐸社)、『アメリカのアイデンティティとナショナリズム』(共著、彩流社)『近代アメリカの公共圏と市民』(共著、東京大学出版会)など。訳書ゴードン・ウッド『ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる』(共訳、慶應義塾大学出版会)、コリン・ウッダード『11の国のアメリカ史』(共訳、岩波書店)。