全6回通し 消えた反物質を探せ

  • 郡 和範(高エネルギー加速器研究機構・総合研究大学院大学准教授)
  • 鳥居 祥二(早稲田大学名誉教授)
  • 樋口 岳雄(東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構准教授)
  • 早野 龍五(東京大学名誉教授・物理学者)
  • 榎戸 輝揚(京都大学白眉センター特定准教授)
  • うるの 拓也(漫画家)
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講師詳細

※各回ごとに、お申し込みいただけます。各回のURLをご利用ください。

1.10/5 10:00-12:00「宇宙の始まりと反物質」高エネルギー加速器研究機構准教授 郡 和範
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/11180a4f-2946-c2d9-4d49-5d5a44b48bc6

今回の講座では、最新の観測、実験、理論から、消えてしまった反物質の謎に迫ります。初回は、私が講座全体のイントロダクションとして、宇宙における反物質の役割を紹介します。具体的には、宇宙が始まった頃に、物質と同様に存在していた反物質が、宇宙の歴史を通じてある時点から消えてしまい、現在の宇宙の姿になったという物理学の理論の解説をします。実は、わずかではありますが、現在でも実験と観測で反物質を検出し、研究することができるのです。私たちの起源にも関係する反物質の謎への挑戦をお伝えできれば幸いです。(講師記

2.10/26 10:00-12:00「宇宙からやってくる反物質」早稲田大学名誉教授 鳥居 祥二
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/3fd1e696-d3b5-0b46-5eff-5d2d7a97c8f0

宇宙からは高いエネルギーに加速された素粒子や原子核が降り注いでいる。これらの宇宙線と呼ばれる粒子の中には、反陽子や陽電子がわずかながら含まれている。長い間これらの反粒子は宇宙線の相互作用により二次的に生成されると考えられてきたが、最近の観測からこの考えでは説明できない大量の反粒子が検出されている。これらの一部は、宇宙科学最大の謎の一つである暗黒物質の対消滅または崩壊で作られた可能性があり、暗黒物質探索の重要なプローブとなっている。また、パルサーでガンマ線から生成されるという説もある。さらに反ヘリウムや反重水素が検出されたという報告もあり、宇宙からの反物質の観測に大きな期待が寄せられている。 (講師記)

3.11/9 10:00-12:00「反物質から見る新しい素粒子のしくみ」 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構准教授 樋口 岳雄
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/2d0fcdf3-13bc-d128-6352-5d2d98a3f00c

この宇宙を支配する物理法則を、粒子と反粒子の性質の違いから精密に解き明かそうと、日本では高エネルギー加速器実験Belle IIが進められています。Belle II実験は昨年11月にすべての検出器の設置を完了し、今年3月からはいよいよ本格的に素粒子反応データの収集を開始しました。粒子と反粒子の違いからどんな物理法則が見えてくるのか、Belle II実験はどのような測定装置を使って実験を進めているのか、最新の素粒子反応データの解析結果を交えて、わかりやすく講演します。(講師記) 

4.11/23 10:00-12:00「反物質で作られた原子」東京大学名誉教授 早野 龍五
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/e7f63143-81e6-a681-367f-5d2da6afaeed

原子はプラスの電荷を持つ原子核に、マイナスの電荷を持つ電子が束縛された系です。最も簡単な原子は水素原子で、電荷+1の陽子に電荷-1の電子が束縛されています。その性質、特にエネルギー準位は、極めて精密に調べられています。
 これに対し、電荷-1の反陽子に電荷+1の陽電子が束縛されたものが、反水素原子です。以前は、反水素原子を作るなどということは夢物語だったのですが、現在では数千個の反水素原子を閉じ込め、エネルギー準位の測定が可能になりつつあります。
 そもそもなぜ反水素原子を研究しようとしているのか、どのように作るのか、どんな測定が可能になってきたか、など、反物質で作られた原子の研究の最前線をお話しします。(講師記) 


5.12/14 10:00-12:00「雷がつくる反物質」京都大学白眉センター特定准教授 榎戸 輝揚
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/46e0e847-0137-21f4-68d0-5d2da940e1e9

雷や雷雲は、その極限的な環境のために科学探査が未だに難しく、宇宙や深海と並ぶ人類未踏の領域と言えます。これらの身近な自然現象から、今まで知られていなかった高エネルギー現象が見つかるようになってきました。一部の雷雲からは、高エネルギーの光、ガンマ線が地上に降り注ぐ場合があるようです。また、雷で発生する高エネルギーの光は大気とぶつかって原子核反応を起こし、電子の反粒子である陽電子を生み出すこともわかってきました。 日本海の沿岸に冬季に発生する雷雲は、格好の観測対象です。近年明らかになってきた雷や雷雲の隠された姿を、私たちの観測プロジェクトの体験とともにお伝えします。(講師記) 

6.12/28 10:00-12:00「SFとガマの油と反物質」漫画家 うるの 拓也
https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/f395262b-39ac-a9a1-1898-5d2dac8fbfe4

高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市:以下KEK)のホームページ上で連載された人気科学ギャグ漫画『カソクキッズ』の作者が、マンガ執筆の裏話とともに様々なマンガ、アニメ、映画、小説などのSF作品に登場した反物質について紹介・解説。SFの中での反物質と実際の研究とのギャップ、反物質に関するマンガ打ち合わせの思い出などを中心に、KEKで8年間マンガを描きながら学んだことを研究者とは違った漫画家の視点で、楽しく初心者向けにお話しします。(講師記)


お申し込み

注意事項

「消えた反物質を探せ」全6回シリーズ 通し券です。
各回ごとでも、お申し込みいただけます。

日程
2019/10/5, 10/26, 11/9, 11/23, 12/14, 12/28
曜日・時間
土曜 10:00~12:00
回数
6回
受講料(税込)
会員 19,800円 一般 23,760円

講師詳細

郡 和範(コオリ カズノリ)
1970年兵庫県生まれ。現在、高エネルギー加速器研究機構理論センター准教授。2000年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。2004年、米ハーバード大学博士研究員。2006年、英ランカスター大学 研究助手、2009年、東北大学大学院助教などを経て、現職。また、総合研究大学院大学と東京大学カブリIPMUの教員も兼任。研究内容は、宇宙論・宇宙物理学の理論研究(キーワード:ビッグバン元素合成、バリオン数生成、インフレーション宇宙論、ダークマター、ダークエネルギー、ニュートリノ宇宙物理学、原始ブラックホール、重力波など)。著書に『宇宙物理学(KEK物理学シリーズ3)』(共立出版)、『宇宙はどのような時空でできているのか』(ベレ出版)などがある。
鳥居 祥二(トリイ ショウジ)
京都大学理学研究科博士課程修了、理学博士(1978年)。東京大学宇宙線研究所、米国ユタ州立大学物理学科等での博士研究員を経て、1983年より神奈川大学物理教室。宇宙科学研究所との共同研究として宇宙線の気球観測を実施。2005年より早稲田大学理工学術院教授。JAXAとの共同プロジェクトとして国際宇宙ステーション搭載宇宙線観測(CALET)プロジェクトに代表者として従事。約5年間の観測装置の開発を経て2015年に打ち上げ、現在まで観測を継続中。2019年定年退官により早稲田大学名誉教授。
樋口 岳雄(ヒグチ タケオ)
1975年神奈川県生まれ。東京大学大学院理学系研究科修了。博士(理学)。2002年高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所・助手、2007年同・助教、2012年東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構・特任准教授、2016年より現職。2003年井上研究奨励賞、2008年小柴賞を受賞。高エネルギー加速器が生成する素粒子反応データの解析から素粒子標準理論の検証や標準理論を超える新しい物理の探索を行うほか、実験装置のためのデータ収集システムや半導体検出器の開発も行っている。
早野 龍五(ハヤノ リュウゴ)
1952年岐阜県生まれ。原子物理学者。東京大学理学部物理学科、同大学院理学系研究科を経て、高エネルギー物理学研究所助教授、東大理学部物理助教授、1997年から東京大学大学院理学系研究科教授、2017年東京大学名誉教授。専門はエキゾチック原子。世界最大の加速器を擁するスイスのCERN(欧州合同原子核研究機関)を拠点に、反陽子ヘリウムと反水素原子の研究を行う。2011年3月以来、福島と関わり、現状分析、情報発信を行う。1998年第14回井上学術賞、2008年仁科記念賞、2009年第62回中日文化賞、著書に糸井重里氏と共著『知ろうとすること。』(新潮文庫)。
http://office-hayano.com/about.html
榎戸 輝揚(エノト テルアキ)
2010年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士(物理学)。2010-2012年スタンフォード大学・SLAC研究員(日本学術振興会 海外特別研究員)。2012-2015年NASAゴダード宇宙飛行センター研究員(日本学術振興会 特別研究員 SPD)。2015年4月より現職。 専門はX線観測を中心に中性子星やマグネターの観測的研究。
うるの 拓也(ウルノ タクヤ)
1964年・茨城県土浦市生まれ。個人プロダクション「うるのクリエイティブ事務所」代表。1985年、少年ジャンプ新人賞にて漫画家デビュー。漫画雑誌での読み切り・連載等を経て、主に広告・広報・学習漫画を中心に活動。またグラフィックデザイナー、広告プロデューサーとして各種広告、WEBサイト等の企画・制作も多数。2008年から高エネルギー加速器研究機構WEBサイト上にて科学ギャグ漫画『カソクキッズ(2008~2011:1stシーズン全30話、2012~2015:2ndシーズン全35話、その他外伝および特番5話)』を連載。茨城県のご当地ヒーロー『時空戦士イバライガー』の各種設定、原作小説執筆なども。