天皇と戸籍 家、王権、そして日本

  • 遠藤 正敬(早稲田大学講師)
講師詳細

戸籍は「日本人」の証明とされている。だが、「日本」の象徴とされる天皇は決して戸籍をもつことがない。この事実は一体、何を意味するのか?そこから次々と疑問があふれ出してくる。天皇は「日本国民」なのか?天皇家の身分登録はどうなっているのか?天皇家の結婚や養子は一般国民とどう異なるのか?等々。天皇制と戸籍は、ともに「日本独自の伝統」として生き続け、「日本人」の精神を左右してきた。家父長制、祖先崇拝、氏と姓、非嫡出子差別などの戸籍を支えてきた思想を考える時、それらが天皇家の“家憲”と深く結びついていることがわかる。天皇と戸籍の関係を歴史的にたどることで、みえてくる「日本」がある。(講師記)

第1回  なぜ天皇には戸籍がないのか
「日本国民」の証明である戸籍。天皇および皇族は決して戸籍をもたない。まさに日本の戸籍は古来、「臣民簿」として存在してきたのである。さらには、日本人の名前をなす「氏」と「姓」も天皇家にはない。この理由は、「氏」「姓」が単なる個人の呼称ではなく、「家」や「血」をめぐる重要な意味をもつことと関わっている。そして、戸籍がない天皇は「日本国籍」ではないのか?戸籍との関係を凝視することで天皇家の知られざる“顔”が浮かび上がってくる。

第2回  皇統譜とは何か
「万世一系」の皇統は、世界に誇る天皇の価値とされる。それを証明するものが皇統譜であり、天皇家の「戸籍」に相当する。皇統譜は何が記載され、いかにして作成されたのか。また、皇族が皇籍から外れて一般国民の戸籍に入ることを「臣籍降下」と呼んだ。いかなる理由によって臣籍降下は発生したのか。ひとたび「臣籍」に下った者は天皇家に復帰できないのか?さまざまな政治的事情によって融通無碍に行われてきた臣籍降下の歴史をたどる。

第3回 天皇家の家族法
天皇家の家族関係(婚姻、離婚、成年など)は戸籍法も民法も適用されない。その代わりに皇室典範はじめ、さまざまな皇室法によって処理されてきた。天皇家の家族法は一般国民とどんな違いがあるのか?また、天皇家は国民にとって「家族」の規範として仰がれる一方、一夫多妻制や庶子の皇位継承など国民の家族倫理と矛盾する慣習が続いてきた。価値観がますます多様化する現代、天皇制と戸籍はどこへ向かうのか。

お申し込み

注意事項


日程
2021/4/19, 5/17, 6/21
曜日・時間
月曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 一般 13,200円
設備費(税込)
495円

講師詳細

遠藤 正敬(エンドウ マサタカ)
1972年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。早稲田大学台湾研究所非常勤次席研究員。早稲田大学、宇都宮大学等非常勤講師。専攻は政治学、日本政治史。著書に『天皇と戸籍-「日本」を映す鏡』(筑摩選書、2019)、『戸籍と無戸籍-「日本人」の輪郭』(人文書院、2017)、『戸籍と国籍の近現代史-民族・血統・日本人』(明石書店、2013)、『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍-満洲、朝鮮、台湾』(同、2010)等。