ジャンケレヴィッチ、レヴィナスと現代倫理学の諸潮流

  • 合田 正人(明治大学教授)
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 名著『倫理学ノート』(講談社学術文庫)の冒頭に、清水幾太郎は「二十世紀の倫理学はG・E・ムアの『倫理学原理』というエクセントリックな書物から始まっている。始まっているだけでなく、現代の倫理学の大部分が、この書物の解説で成り立っていると言えるであろう」と書き記してる。ムア(1873-1958)はいわゆる功利主義の伝統を批判的に継承した哲学者であるが、私はこうした基礎文献を知ることなく、ジャンケレヴィッチやレヴィナスと出会った。また、現代の「正義論」と言うと、多くの方がジョン・ロールズ(1921-2002)の『正義についてのひとつの理論』を想起するだろうが、私は当初はそれを知ることなくジャンケレヴィッチやレヴィナスを読んだ。「飢え」という主題から、ベンガル出身の経済倫理学者アマルティア・セン(1933-)に関心を抱いた時にも、彼とロールズとの「正義」をめぐる論争のことはほとんど知らなかった。しかし、私の無知ゆえに生じたこの溝を今は埋めなければならないのではないだろうか。「飢え」に言及したが、この世界に於ける「貧困」「飢え」とは、「不平等」「公正」とは、「民主主義」とはいかなるものなのか。20世紀フランスに登場した二人のユダヤ系哲学者の倫理学的探求と、イギリス及びアメリカ合衆国を舞台として展開された倫理学的探求を突き合わせ、衝突させながらこれらの問題を考えてみたい。(講師記)

第一回:講義の展望、ジョン・ロールズの生涯と著作
第二回:ロールズ『正義論』を読む
第三回:アマルティア・センとは誰か? ロールズとセンの論争
第四回:ジャンケレヴィッチとレヴィナス
第五回:「効用」(utility)をどう考えるか?
第六回:「正義」の諸相、まとめと展望


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日程
2020/10/13, 10/27, 11/10, 11/24, 12/8, 12/22
曜日・時間
第2・4 火曜 19:00~20:30
回数
6回
受講料(税込)
会員 19,800円 
その他
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講師詳細

合田 正人(ゴウダ マサト)
1957年生まれ。一橋大学社会学部卒業。パリ第八大学哲学科に留学。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京都立大学助教授を経て、現職。専攻は、思想史。著書に、『レヴィナスの思想-希望の揺籃』(弘文堂、改訂版はちくま学芸文庫)、『ジャンケレヴィッチ――境界のラプソディー』(みすず書房)、『幸福の文法』(河出ブックス)、『フラグメンテ』(法政大学出版局)など。訳書に、レヴィナス『全体性と無限』(国文社)、『固有名』(みすず書房)、『存在の彼方へ』(講談社学術文庫)、ベルクソン『講義録』(法政大学出版局)、ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』(みすず書房)、ベルクソン『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二つの源泉』(筑摩書房)、レイ『レヴィナスと政治哲学』(法政大学出版局)、ジャン=クレ・マルタン『ドゥルーズ-経験不可能の経験』(河出文庫)、デリダ『エクリチュールと差異』(法政大学出版会)など。論文に、「他者と他者―フロイト・ラカン・レヴィナス」(『ラルシュ』)ほか。