「万葉集」が語る歴史 吉野讃歌-神聖王権の復調と永遠の奉仕

  • 品田 悦一(東京大学教授)
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 『万葉集』巻一・巻二を、天武・持統朝の歴史物語として読み解く。『万葉集』は、少なくともその成立当初においては、「日本人の心のふるさと」などではなかった。この歌集は国家が人々の心と生活とを掌握していることの証しとして編まれたのであり、『古事記』『日本書紀』とは異なる意味において、しかし紛れもなく王権の書であった。
 『古事記』『日本書紀』の主題は天皇統治の正当化にある。これと巨視的には同質の語りが『万葉集』巻一・巻二にも認められるが、その語りの実質的起点は世界の始まりにではなく、舒明天皇の代に捉えられている。「舒明皇統歌集」と呼ばれるように、歌々を通して皇位継承の物語が浮かび上がる仕組みなのである。この聖なる皇統は、人知を超えた神々のはからいに導かれつつ、度重なる厄災をそのつど乗り越えていく。
 今期は柿本人麻呂の吉野讃歌を取り上げ、神聖王権の復調と永遠の奉仕の時代を読み解く。 (講師記)

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日程
2019/7/8
曜日・時間
月曜 13:30~15:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,240円 一般 3,888円
持ち物など
<参考テキスト> 必須ではありません。
「萬葉集本文篇」(佐竹昭広、木下正俊、小島憲之著/塙書房)書店にてお求めください。
その他
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

品田 悦一(シナダ ヨシカズ)
1959年群馬県生まれ。1988年東京大学大学院人文科学研究科博士課程(国語国文学)単位取得修了。上代日本文学専攻。聖心女子大学文学部教授を経て、現在、東京大学教授。著書に『万葉集の発明 国民国家と文化装置としての古典』(新曜社)、『斎藤茂吉』(ミネルヴァ書房)、『斎藤茂吉 異形の短歌』(新潮社)、共編著に『古典日本語の世界 一・二』(東京大学出版会)などがある。