アングロ・サクソン美術Ⅵ 大陸への影響

  • 越 宏一(東京芸術大学名誉教授)
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 本講義シリーズのI~Vは、アングロ・サクソン美術最初の黄金時代である7世紀と8世紀のイギリス美術自体が主題であった。この黄金時代は、地中海沿岸諸国においては、かつてのローマ帝国の文化的衰退の最終段階、そして、ヨーロッパ大陸の大部分においては、バルバロイ侵入の波に飲み込まれた時期に重なる。振り返ってみると、キリストの布教をきっかけに、クラシックな文化遺産はヨーロッパ大陸周辺部の二つの島に避難した観がある。
 しかしアイルランド人とイギリス人は、古い伝統の単なる管理人には留まらなかった。インスラーの教会の比類なき布教活動はキリスト教のみならず、同時にインスラーの芸術的信条をも、大陸のバルバロイに広めたのである。アングロ・サクソン美術の最初の黄金時代はヴァイキングの侵略による混乱の内に突然、終わりを告げたけれど、幸いなことに、新しいキリスト教美術のトーチはその前に、ヨーロッパ北西および中部のゲルマン諸民族に引き渡されていた。その結果、クラシックな形式と形象をバルバロイの美学に適合させるという、イギリスの芸術家の努力は無駄にはならなかった。実際、ドイツは8世紀において、イギリスの芸術的プロヴィンスであった。
 今回から、8世紀以降の大陸へのアングロ・サクソン美術の影響を考察することにしたい。  (講師・記)                                        
※右図は 『トリーアの福音書』 4福音書記者の象徴 8世紀第2四半期/エヒテルナハ

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日程
2019/7/20, 9/21
曜日・時間
第3 土曜 13:30~15:00
回数
2回
受講料(税込)
会員 6,480円 一般 7,776円
持ち物など
講座終了後、ご希望の方に実費でカラーコピー資料をお渡しします。
その他
8月はお休みです。日程ご注意ください。
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講師詳細

越 宏一(コシ コウイチ)
 1942年生まれ。東京芸術大学美術学部卒業。ウィーン大学留学、博士号取得。ヨーロッパ中世美術史専攻。東京芸術大学名誉教授。1991年シーボルト賞受賞。著書に『ライヒェナウの初期中世壁画』(独文)、『ヨーロッパ中世美術講義』『風景画の出現』(岩波書店)、『ラヴェンナのモザイク芸術』(中央公論美術出版)など。