石牟礼道子と天草

  • 吉増 剛造(詩人)
  • 今福 龍太(文化人類学者)
講師詳細

 石牟礼道子が生まれた地、天草。幼少期に水俣へ移り住みましたが、そのルーツは天草にあります。両親も、石工だった祖父も出身はみな天草。不知火の海をへだてて水俣の対岸に横たわるこの島に石牟礼道子は深いえにしを覚え、たびたび作品にも取り上げました。天草のことばや自然、人々の想いの深さへの共感。畢生の大著『春の城』では、天草四郎による一揆の歴史を名もなき清廉な魂の物語として描き、それが現代の水俣の民の闘いへとつながっていることを示唆しました。
 彼女の天草への思いは『花の億土へ』では以下のように述べられています。「「あま」は「天」という字で、それに草と書く。(……)十万億土の中の天の億土のようなものがこの宇宙に生まれた、その最初の島である。それで私のご先祖は、草の親のようなものだったろうと思っている」。
 石牟礼道子の文学世界における原郷として静かに発光する「天草」という名の焔(ほのお)。そのさまざまな現われと揺らぎを、詩人の吉増剛造氏と文化人類学者の今福龍太氏の対話をつうじて読み解きます。


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日程
2019/6/29
曜日・時間
土曜 15:30~17:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,672円 一般 4,320円
その他
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

吉増 剛造(ヨシマス ゴウゾウ)
詩人。慶応義塾大学国文科卒業。在学中から『三田詩人』『ドラムカン』を中心に詩作活動を展開、以後、先鋭的な現代詩人として高い評価を受ける。60年代末から詩の朗読を続ける一方、現代美術や音楽とのコラボレーション、写真などの活動も意欲的に展開。主な詩集に『黄金詩篇』(思潮社・高見順賞)、『オシリス、石ノ神』(思潮社・現代詩花椿賞)、『螺旋歌』(河出書房新社・詩歌文学館賞)、『「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」』(芸術選奨文部大臣賞)、『裸のメモ』(書肆山田)、『怪物君』(みすず書房)など。
今福 龍太(イマフク リュウタ)
1955年東京生まれ。1982年よりメキシコ、キューバ、ブラジルなどで人類学的調査に従事。現在、東京外語大学大学院教授として映像文化論、時間形象論、群島論等を講ずる。キャンパスの外に新たな遊動的な学びの場の創造を求め、2002年より巡礼型の野外学舎「奄美自由大学」を主宰。主な著書に『ミニマ・グラシア』『薄墨色の文法』『ジェロニモたちの方舟』(以上、岩波書店)『レヴィ=ストロース 夜と音楽』(みすず書房)、『書物変身譚』(新潮社)、『私たちは難破者である』(河出書房新社)など。近著に主著である『クレオール主義』『群島-世界論』を含む『今福龍太コレクション《パルティータ》』(全五巻、水声社)、『小さな夜をこえて──対話集成』(水声社)など。吉増剛造との共著に『アーキペラゴ 群島としての世界へ』(岩波書店)がある。