数学塾 フーリエ解析の泉 オイラーからフーリエへ

  • 高瀬 正仁(元九州大学教授)
講師詳細

 数学史は「数学とは何であるか」と問う学問ですから、数学と数学史は切り離すことができません。数学の理論の真実の姿は源泉に宿っていて、源泉の所在地を教えてくれるのが数学史です。この「数学塾」では、毎回ひとつのテーマを取り上げて、その理論の泉となった「一番はじめの人」の「一番はじめの作品」に沈潜して思索の流れをたどり、数学の誕生の瞬間に立ち会うことをめざします。
 19世紀のはじめにフーリエの著作『熱の解析的理論』(1822年)が現れて、今日のフーリエ解析の泉が造形されました。ライプニッツとベルヌーイ兄弟、オイラー、ラグランジュにより建設された微分積分学のすべてがこの泉の素材となり、ここから新たに今日に続く近代解析が途切れることなく流れ続けています。西欧近代の数学の結節点に位置する重要な著作です。最近、朝倉書店から邦訳書が刊行されましたので、この機会に最初期のフーリエ解析の世界を渉猟してみたいと思います。(講師・記)

〈スケジュール〉
第1回
基礎概念の回想。フーリエに最も大きな影響を及ぼしたのはオイラーで、フーリエの著作にはオイラーの影響がここかしこに現れています。関数の概念、変化量の微分、微分式の積分、常微分方程式と偏微分方程式、無限級数など、解析学の基礎概念がオイラーからフーリエに伝えられました。その様子を物語るおもしろい形の無限級数や積分を紹介します。

第2回
 フーリエの著作の第3章「無限直方体における熱伝播」の第6節は「任意関数の三角級数展開」と題されています。ここで語られる事柄が今日のフーリエ級数の理論の原型です。任意関数とは何か。任意関数は三角級数により表示されるというフーリエの確信の根拠は何か。これらの問いを念頭において、フーリエのアイデアを紹介します。

第3回
 熱を伝える媒体の移転に熱源を置くとき、熱が伝搬する様子は熱伝導方程式と呼ばれる偏微分方程式により記述されます。その解を表示する方法を探索することが、フーリエの理論の根源でした。そこで熱伝導方程式とフーリエ級数を連繋するものは何かという問いを立てて、フーリエの言葉に耳を傾けたいと思います。

〈参考文献〉フーリエ『熱の解析的理論』 西村重人[訳]、高瀬正仁[監訳]、朝倉書店、2020年1月

※数学塾は全3回あります。ご希望の回にお申し込みいただけます。必要に応じて前回の復習をしつつ進めますが、連続して受講される方が理解しやすいです。
※ユース学生会員はお電話の受付のみ承っております。
※各回のお申込みも可能です。
第1回のみはコチラ⇒https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/1833f620-fe92-7bbd-dc0e-5e008e1de56f
第2回のみはコチラ⇒https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/1be31d3c-6ef2-0f4f-05f8-5e13db0eeb98
第3回のみはコチラ⇒https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/b4b2b579-5a7c-bd9e-b2c5-5e13dd6e732b

お申し込み

注意事項

・7/12、8/9、9/13(日)12時半から16時45分に全3回の補講を行います。(6/1更新)

日程
2020/7/12, 8/9, 9/13
曜日・時間
第2週 日曜 12:30~16:45
回数
3回
受講料(税込)
会員 19,800円 一般 26,400円
その他
・途中休憩があります。
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。
・数学塾は全3回あります。ご希望の回にお申し込みいただけます。必要に応じて前回の復習をしつつ進めますが、連続して受講される方が理解しやすいです。

講師詳細

高瀬 正仁(タカセ マサヒト)
1951年、渡良瀬川上流の山村、群馬県勢多郡東村(現在のみどり市東町)に生まれる。数学者、数学史家。専攻は多変数関数論と近代数学史。東京大学を経て九州大学大学院修士課程修了。元九州大学教授。歌誌「風日」同人。著作『評伝岡潔』三部作(「星の章」「花の章」は海鳴社。「虹の章」はみみずく舎)、『高木貞治とその時代』(東京大学出版会)など。訳書『ガウス整数論』(朝倉書店)、『オイラーの無限解析』『オイラーの解析幾何』(海鳴社)、『ガウスの数学日記』(日本評論社)など。