スイス美術への招待

  • 鈴木 桂子(大妻女子大学非常勤講師)
講師詳細

 ヨーロッパのほぼ中央に位置し、三つの公用語を持つスイス。その土壌で育まれた芸術は歴史的地理的条件に左右され、多様な姿を見せています。
 本講座ではスイス東南に位置するグラウビュンデン州の村ツィリスに焦点をあてます。この州は中世の時代に制作された優れた美術作品の宝庫ですが、ツィリスの聖マルティン教会には、ほぼ当時の姿をとどめるものとしてはヨーロッパ最古の木製天井画(12世紀初頭、図)が現存します。周囲を山に囲まれた村落のはずれにある小規模な教会。その簡素な外観からは想像できないほど豊かな天井画が、教会に一歩、足を踏み入れた人々を驚かせます。ツィリスは古代ローマ時代から北と南をつなぐ不可欠なルートにありました。そしてこのルートで忘れてはならないのが、当時、非常に恐れられていたヴィア・マラ渓谷です。今日ではスイスの重要な観光スポットですが、この渓谷の存在も、天井画の成立に何らかの影響を及ぼしていたと考えられます。
 本講座ではツィリスの地理的特性に言及しながら、いまだに謎を残す天井画の世界を解説していきます。スイス旅行をお考えの方にもおすすめの講座です。(講師・記)

この講座は終了しました
日程
2020/1/25
曜日・時間
土曜 13:30~15:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,300円 一般 3,960円
その他
・教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

鈴木 桂子(スズキ ケイコ)
東京芸術大学大学院修士課程修了。スイス、ベルン大学で博士号取得。専門は西洋中世美術。19年間スイスで生活し、帰国後は大学の教壇に立ち、またスイスの文化・芸術の紹介につとめる。著書に"Bildgewordene Visionen oder Visionserzählungen" (Peter Lang)、『剣と愛と』(共著、中央大学出版部)、『夢と幻視の宗教史』(共著、リトン)、『中世美術の諸相』(共著、竹林舎)など。