記・紀が描く天皇の素顔に迫る

  • 森田 喜久男(淑徳大学教授)
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  『古事記』下巻は、仁徳天皇から推古天皇までの歴史を物語りますが、そこに登場する天皇は、大変生々しい存在として描かれています。繰り返される皇位継承をめぐる戦い、ラブロマンス、そして朝鮮半島諸国との緊迫した関係など。
 それは『旧約聖書』やホメロースの『イーリアス』、ゲルマン民族の叙事詩『イーリアス』にも匹敵する壮大なスペクタルドラマと言ってもよいでしょう。
 では、そのようなドラマを通して、『古事記』や『日本書紀』が語りたかったことは何だったのでしょうか。律令国家の形成に情熱を注いだ天皇や貴族層は、推古天皇以前の歴史をどのようにとらえようとしていたのか、この点について一緒に考えてみませんか。もちろん、5世紀の歴史の実態にも迫ります。
 歴史の闇の中に降り注ぐ「理念」と「実態」の二筋の光のメッセージ。それらが交錯してスパークした後、私たちはどのような新たな古代史像を見出すことができるのでしょうか。(講師・記)  

【2021年4~6月のカリキュラム】
第1回 聖帝仁徳の素顔    
 仁徳天皇と言えば、戦前の国定教科書では、高い山に登って国見をし、民が貧しいこと を知って課役を3年間免除した聖帝として顕彰されていました。しかし、仁徳記や仁徳 紀を隅から隅まで読むと、そんなに単純な存在としては描かれていません。そう言えば、 田辺聖子さんの『隼別王子の叛乱』という小説もありましたね。小説の題材にもなる仁 徳天皇の素顔に迫ってみましょう。 

第2回 反乱伝承を読み解く 
 仁徳から仁賢まで、記・紀を読み進めていくと、毎回、即位前には叛乱伝承が出てきます。中には、即位した後、殺害された天皇もいます。まさに血で血を洗う争いが起きて います。なぜ、このような伝承が残ったのでしょうか。この伝承を通して浮かび上がってくる皇位継承の実態とは。

第3回 有徳の天皇?それとも暴君?雄略の素顔
 記・紀に登場する雄略天皇は、稲荷山古墳出土鉄剣や江田船山古墳出土大刀に刻まれた ワカタケル大王として実在した人物とされています。また『宋書』倭国伝に見える倭王 武とイコールであるという説が有力です。この雄略朝は、人制と呼ばれる支配機構が整備されるなど画期として注目されてきましたが、記・紀の描く雄略は、仁徳に劣らず、複雑な性格を持つ天皇です。では雄略は、記・紀に描かれた「王権の歴史」の中でどのような位置を占めるのか、そしてワカタケル大王の実像はどのようなものであったのか、記・紀と金石文、外国史料を比較しながら検討してみましょう。
 

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お申し込み
日程
2021/4/28, 5/26, 6/23
曜日・時間
水曜 15:30~17:00
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 
設備費(税込)
495円
その他
教室は変わる場合があります。10階と11階の変更もあります。当日の案内表示をご確認ください。

講師詳細

森田 喜久男(モリタ キクオ)
1964年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科史学専攻博士課程単位取得退学。博士(歴史学・駒澤大学)島根県古代文化センター、島根県立古代出雲歴史博物館を経て、淑徳大学人文学部教授。日本古代史・神話学・博物館学専攻。著書『日本古代の王権と山野河海』、『やさしく学べる古事記講座』(ハーベスト出版)、『古代王権と出雲』(同成社)他。