【教室受講】京都の怪異、大坂の怪談
東アジア恠異学会共催講座 怪異学フォーラム①②
- 教室開催
◆第1部 京都の怪異
古代において「怪異」とは、天や神が人に発するメッセージであり、災害や異常現象などをさしていました。そうした「怪異」に対し人々はどう向き合ったのか。古代~中世の京都(平安京)で記録された「怪異」の歴史をひもときながら、「怪異」とは何か?「怪異学とは?」について、東アジア恠異学会の新旧代表が語ります。
・講義「怪異は踊るー吉田神社と延徳密奏事件」西山克(京都教育大学名誉教授/東アジア恠異学会前代表)
室町時代の吉田神社に吉田兼倶という人物があらわれます。彼は朝廷で発生する怪異を祈祷で鎮めながら、吉田山の斎場所(現在の大元宮)に伊勢神宮の簒奪を企みます。延徳密奏事件として知られる事件ですが、この一件に光をあて、室町時代の怪異について考えてみます。
・講義「認定される怪異」大江篤(園田学園女子大学学長/東アジア恠異学会代表)
「怪異」は中国から伝わった漢語であり、古代では「あやしいこと」「ふしぎなこと」「ばけもの」とは異なる語として使用されていた。ある出来事を「怪異」と認定した人やしくみがあった。平安時代の貴族、藤原実資の日記『小右記』を読み解きながら、平安京に暮らす人々にとって「怪異」とは何だったのかについて考えていきたい。
13:35〜13:55 講義 西山講師、 14:00〜14:20 講義 大江講師、14:25〜14:55頃 対談
◆第2部 大坂の怪談
江戸時代には、国家の存亡にかかわるような「怪異」よりも怨みや嫉妬のため死後も人に祟りをなす「幽霊」のように、市井に暮らす人びとにとって身近な「怪談」が多く語られました。江戸よりもはやく町人文化が花開いた大坂では怪異がどのように語られ、また文芸や芝居ではどのように描かれたのかを追究します。
・講義「演じられた怪異」堤邦彦(京都精華大学教授)
江戸前期の上方芝居には、女性の幽霊を描く演目が少なくない。古浄瑠璃や近松作品では、嫉妬の念を吐露しながら恋敵を責めさいなむ女霊の表象が好んで取り上げられている。
また元禄歌舞伎の女形名優たちは、宙を舞い火焔とともに現れる化け物の演技に工夫を凝らして観客の喝さいを浴びた。江戸の大衆文化の中で、怪異は娯楽の一端に組み込まれていく。
・講義「論じられる怪異」木場貴俊(京都先端科学大学講師)
大都市大坂でも、さまざまな不思議な出来事が起きていた。そうした怪異に対して、大坂の人びとはただ怖がるだけではなく、なぜ起きたのかを論じたり、文芸や芝居として娯楽にして楽しんだりした。今回は、並河寒泉『弁怪』を主な素材に、怪異をどのように論じたのかを通して、大坂の人びとが持っていた怪異に対するまなざしの一端を考えてみたい。
15:50〜16:10 講義 堤講師、16:15〜16:40 講義 木場講師、16:45〜17:15頃 対談
※オンラインでも受講できます。別ページからお申し込みください。
注意事項
オンラインでの受講は別ページからお申し込みください。
- 日程
- 2023/2/4
- 曜日・時間
- 土曜 13:30~17:30
- 回数
- 1回
- 受講料(税込)
- 会員 3,190円 一般 3,190円
- 設備費(税込)
- 110円
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講師詳細
- 西山 克(ニシヤマ マサル)
- 1951年生。京都大学大学院(国史学専攻)単位取得。京都教育大学教授、関西学院大学教授を経て現職。著書に『聖地の想像力―参詣曼荼羅を読む』(法蔵館)、『中世ふしぎ絵巻』(ウェッジ)、『地獄への招待』(編著、臨川書店)など多数。
- 大江 篤(オオエ アツシ)
- 1961年生。関西学院大学博士(歴史学)。東アジア恠異学会代表。著書に『日本古代の神と霊』(臨川書店)、編著に『尼崎百物語』、共著に『怪異学の地平』『古代東アジアの「祈り」』『怪異学入門』など。
- 堤 邦彦(ツツミ クニヒコ)
- 慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。↓↓専門分野は説話伝承史。世の中の役に立たない怪談研究に専心。↓↓著書に『江戸の高僧伝説』、『怪異学の技法』(共著)、『女人蛇体―偏愛の江戸怪談史』、『現代語で読む江戸怪談傑作選』など。
- 木場 貴俊(キバ タカトシ)
- 関西学院大学大学院博士後期課程日本史学専攻修了。博士(歴史学)。専門は日本近世文化史。著書に『怪異をつくる:日本近世怪異文化史』(文学通信)など。