藤原定家歌語り~古今と万葉と
「遠方人(おちかたびと)と梅が枝」の歌
- 教室開催
- 伊藤 伸江(愛知県立大教授)
小倉百人一首を選んだとされる藤原定家。自らの歌に関しては、生涯に詠んだ歌から特に二百首を選び、自歌合(じかあわせ)に仕立てました。『定家卿百番自歌合』には、四季歌の名歌が並びます。定家は、彼が参加し歌を詠んだ様々な催しから季節の進行に合わせて歌を選んでおり、出典は歌合、詩歌合、百首歌、五十首歌、障子歌と様々で、芸術家として積んだ研鑽の程が知られます。
今回は、『定家卿百番自歌合』の春歌から、梅の香りを詠んだ一番をとりあげる。左歌の本歌となった「遠方人(おちかたびと)にもの申す…」は、古今集の有名な歌、源氏物語・夕顔の巻の光源氏と夕顔の出会いの場面にも使われた。対する右歌では、万葉集から、乙女の袖を吹く「明日香風」を使う。印象鮮明な古歌を使いながら、梅の花を擬人化するのか、それとも春風を擬人化するのか、馥郁たる香りを表現するに際して定家の取った二種類の詠み方の工夫を味わう。
- 日程
- 2023/3/29
- 曜日・時間
- 水曜 10:00~12:00
- 回数
- 1回
- 受講料(税込)
- 会員 3,080円 一般 3,630円
- 設備費(税込)
- 165円
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講師詳細
- 伊藤 伸江(イトウ ノブエ)
- 東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専攻博士課程修了
〈研究課題〉 中世和歌 連歌及び連歌師の紀行文 中世の日記及び随筆
〈著書〉『中世和歌連歌の研究』(単著・笠間書院)
『中世日記紀行文学全評釈集成第七巻』(共著・勉誠出版)
〈論文〉「『徒然草』第百四段の筆法─王朝的章段の描きたかったもの─」
(『国語と国文学』第78巻8号)など
〈所属学会〉 中世文学会 和歌文学会 俳文学会 日本文学協会 東大国語国文学会