「言葉」の宗教――ユダヤ教

  • 勝又 悦子(同志社大学神学部准教授)
講師詳細

ユダヤ教は日本では、名前は耳にしても、その内実はあまり知られてはいないのではないでしょうか。ユダヤ教は、キリスト教、イスラームの母胎となり、二千年の離散と苦難の歴史を生きのび、政治、文化、経済他様々な方面に大きな影響力を与えてきました。神殿や国という「モノ」を失い、世界各地に離散したユダヤ教世界を支えたのは、神から与えられた「言葉」=聖書でした。それは、神から残された唯一の贈り物でした。ユダヤ人はそこから膨大な物語を紡ぎだし、このカタチにならない物語が、長い離散の歴史の間、彼らの拠り所となったのでした。本講座では、ユダヤ教に与えられた「言葉」、そして、そこから紡ぎだされた膨大な物語を通して、ユダヤ教、ユダヤの人々の歴史、理念を探りたいと思います。とかく、「カタチ」になるもの、即効性のあるもの、生産的なものばかりがもてはやされる今、本当に残っていくものはなにか、ユダヤ人が紡ぎだした様々な物語を通して考えたいと思います。可能な限り、ユダヤ教の音楽、映画、美術を視聴しながら、五感を通してユダヤ教の「言葉」を感じます。
<今期の内容> 近現代ユダヤ教と言葉
国民意識の高まりとともに、離散状況にあるユダヤ人も、自分たちの言葉への意識が高まります。エリエゼル・ベン・イェフダは、無謀にもヘブライ語を日常言語として再興させます。そして、ロシア・東欧のユダヤ人の日常の言葉であったイディッシュは、アメリカに渡ったユダヤ人の創造力となりました。しかし、言葉を拠り所にしてきたユダヤ人に歴史は襲い掛かります。ヘブライ語でショアと称される、ナチスドイツによるユダヤ人大迫害です。なぜ、神は沈黙したのか、いまなお、言葉にはできていません。
1月22日 ヘブライ語の再興:エリエゼル・ベン・イェフダの企て
2月26日 イディッシュ語の再興:虹の彼方に―アメリカに渡ったユダヤ人の物語
3月25日 言葉にしえぬもの:ショア―

お申し込み
日程
2020/1/22, 2/26, 3/25
曜日・時間
第4週 水曜 13:00~14:30
回数
3回
受講料(税込)
会員 8,250円 一般 9,900円
持ち物など
教材として資料をお配りする場合は、随時実費をいただきます。
その他
窓口でお手続きされる方は、「歴史・文学・芸術・科学★9」のちらしをご覧ください。

講師詳細

勝又 悦子(カツマタ エツコ)
1965年生。東京大学大学院人文社会系研究科基礎文科コース宗教学宗教史学専攻博士課程単位取得退学。エルサレム・ヘブライ大学大学院にてPh.D.(ヘブライ文学)取得。専門は、ユダヤ教の思想、歴史、特にユダヤ教の聖書解釈。困難な歴史を生き延びたユダヤ教の強靭な思考、精神、生きる力を浮き彫りにしたい。論文:「ユダヤ教における自由」『基督教研究』第77巻1号、2015年、1-231頁他。著書(共著):『生きるユダヤ教:カタチにならないものの強さ』(教文館)2016年他。第7回(平成22年度)日本学術振興会賞受賞