宗教学者に学ぶ霊場めぐり  六道参りと清水寺

  • 磯前 順一(国際日本文化研究センター教授)
講師詳細

古来より清水寺には多くの参拝者が救いを求めて訪れました。ご存知ですか、かつては本堂に泊まりこむことも可能だったのです。音羽の滝と千手観音。それが清水寺の信仰世界の中心をなすものです。いまでもお参りしたり、観光に立ち寄る人の数と増える一方です。
しかし、その一方で清水寺にいたる、五条大橋から西福寺・六波羅密寺・六道皇寺に関心を持つ人は少ないようです。そこにはかつて空也を始めとする念仏聖が死者の冥福を祈り、病者の治癒を祈り、薬師如来への信仰を軸として救済活動を展開した場でありました。鳥辺野という葬送地に隣接したこの地域もまた、病や死の不安に苦しむ人びとが神仏の慈悲にすがろうとした場所だったのです。それゆえに、人の殺生を生業とする武士や寺社の清浄を保つ清目役である犬神人などが、六波羅や弓矢町に居住地を定めたのです。この地域の寺院には地獄絵や閻魔王像があることはよく知られていますね。
 そもそも救済と清目、救済と殺生。それはどのような関係にあるものなのでしょう。誰かが穢れを引き受けたからこそ、公家や学僧は救済のみに自らの活動を定められたのではないでしょうか。誰かが不幸になることで、自分が救われるとしたら、それでも人間は自分が救われたいと願うものなのでしょうか。
六道とは人間や動物の苦しみの世界をさ迷うことを指します。だから古来多くの人たちは、もう二度とこの世に生まれかわることなく、極楽往生することを願ったのです。そこにはどのような世界が開かれていたのでしょうか。五条大橋から清水寺にいたる地域を、古典を紐解きながら一緒に俯瞰してみませんか。

お申し込み
日程
2020/8/24
曜日・時間
月曜 13:30~15:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 3,300円 一般 3,520円
設備費(税込)
110円
持ち物など
筆記用具

設備費は、教室維持費です。
その他
窓口でお手続きされる方はちらし「公開講座4」をご確認ください。

講師詳細

磯前 順一(イソマエ ジュンイチ)
宗教学・歴史研究専攻。東京大学助手、日本女子大学助教授などを経て、現職。チュービンゲン大学、ハーバード大学、ボッフム大学、チューリヒ大学などの客員研究員も歴任。