村上春樹と『カラマーゾフの兄弟』について

  • 岡野 進(元九州大学言語文化研究院教授)

 今年はドストエフスキー生誕200年の年にあたります。そこで、村上春樹とドストエフスキーについてお話しします。二人を並べると、何の関係があるのか、と驚かれるかも知れません。高度経済成長の時代に「ネクラ」の代名詞として嫌われたのがドストエフスキー、代わって「軽さ」を売りにし、世に出た作家が村上春樹だからです。確かに二人は対照的な作家です。しかし、村上春樹はドストエフスキー、特に『カラマーゾフの兄弟』に大きな影響を受けているのです。村上春樹は高度成長経済のひずみを真剣に考え、それを乗り越えようとしました。そのとき、村上を導いた作品が『カラマーゾフの兄弟』なのです。
この影響は村上の代表的な二作品、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじ巻き鳥クロニクル』に色濃く表れています。この二つの作品で、登場人物たちは暗い闇を体験します。闇を照らす光となるのが、ドストエフスキーが描いたアリョーシャのことばなのです。
ドストエフスキー体験から村上春樹は何を学んだのか、それを知ることは、コロナ禍の時代をどう生きるのかのヒントになるはずです。

#『カラマーゾフの兄弟』については事前に読んでおくに越したことはありませんが、読んでおかなくては講義が理解できないということはありません。村上春樹の作品は講師が説明しますので、読んでおく必要はありません。

お申し込み
日程
2021/5/29
曜日・時間
土曜 13:30~15:00
回数
1回
受講料(税込)
会員 2,640円 一般 3,410円
設備費(税込)
110円
持ち物など
筆記用具をお持ちください。


※受講手続きは事前にお済ませ下さい。当日入金は、受講料に200(税別)円を加えた金額で承ります。
※設備費は、教室維持費です。