中世の棒状鉄製品は中国宋からの輸入鉄素材か
発掘された鉄から探る日本の古代・中世
- 教室・オンライン同時開催
- 桃﨑 祐輔(福岡大学人文学部歴史学科教授)
福岡県朝倉市才田遺跡や沖縄県八重山地域をはじめとする日本中世遺跡出土の棒状鉄製品と、中国の華光礁一号・ジャワ海沈船に積載された棒状鉄素材の一致から、特に12世紀のものは、中国から輸入された棒状鉄素材の可能性が高いことを指摘します。
2022年1月,松井和幸先生(北九州市いのちのたび博物館名誉館員・たたら研究会会員)の『鉄の日本史 邪馬台国から八幡製鉄所まで』(筑摩書房)が刊行され、日本の鉄の歴史が通覧されました。しかし、かつて棒状鉄製品について松井先生と論争した私、桃﨑とは、日本の古代・中世の鉄に関して理解が大きく異なります。
私は2022年3月に九州国立博物館で行われたシンポジウムで、「中世遺跡出土の棒状鉄素材は中国宋からの輸入鉄か」と題して発表し、中国南海の沈没船に積まれた大量の鉄素材の分析から、中世の日本・琉球弧には中国より大量の鉄素材が輸入されていたという仮説を示しました。そして2023年3月に刊行した最終成果報告書では、当初の予測を越えたアジア全域への過剰な中国産鉄流通が、各地の在地鉄生産に大打撃を与える一方、開発と戦争の時代を到来させた実態が見えてきました。そこで本講座では、「アジアを変えた鉄」の視点から、鉄の歴史に関する通説の問題点と、それを書き替える最新の研究成果をお話します。
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- 日程
- 2023/7/17
- 曜日・時間
- 第1週・第3週 月曜 13:00~14:30
- 回数
- 1回
- 受講料(税込)
- 会員 3,190円 一般 3,740円
- 設備費(税込)
- 220円
- 持ち物など
- 筆記用具をお持ちください。
※設備費は、教室維持費です。
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講師詳細
- 桃﨑 祐輔(モモサキ ユウスケ)
- 1967年(昭和42年)3月12日生まれ。福岡大学人文学部教授(考古学)
福岡県福岡市出身 筑波大学大学院歴史・人類学研究科文化人類学専攻を単位取得退学。東京国立博物館事務補佐員、筑波大学助手を経て2004年に福岡大学に着任。2018年に中国社会科学院考古研究所・吉林大学・西北大学で1年間の在外研究に従事。ユーラシア騎馬文化・中近世仏教考古学が専門で「中世とは何か」の解明をめざす。
主な著作に「高句麗太王陵出土瓦・馬具からみた好太王陵説の評価」(『海と考古学』2005)、「七支刀の金象嵌銘技術にみる中国尚方の影響」『文化財と技術 4』2005)、「中世棒状鉄素材に関する基礎的研究」(『七隈史学』第10号)、「九州の屯倉研究入門」(『還暦、還暦?、還暦!』2010)、「九州出土子持勾玉研究入門」(『福岡大学考古学論集2』2013)、桃崎祐輔「騎馬文化の拡散と農耕文明との融合-江上騎馬民族征服王朝説が描く文化融合モデルとその今日的意義-」(『今、騎馬民族説を見直す』2014)「山の神古墳出土馬具の検討―2セットのf字形鏡板付轡・扁円剣菱形杏葉の年代とその意義―」(『山の神古墳の研究』2015)「金属容器」(『モノと技術の古代史 金属編』2017)「英彦山信仰遺跡と遺物からみた英彦山の歴史」(『英彦山の宗教民俗と文化資源』2017)など