「フランス美術」講座
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  • 武末 祐子(西南学院大学外国語学部外国語学科 教授)
講師詳細

 まずヨーロッパ的装飾の一つであるグロテスク装飾を紹介します。次に人の顔を捉えるとき横顔、正面顔の違いはあるのか考えてみましょう。そして18世紀から20世紀にかけては、まずダヴィッド「マラーの死」、印象派画家のうち人物画を得意としたルノワール「陽光の中の裸婦」、印象派グル―プと活動をともにしましたが、特異な点も多いカイユボットの都会的な「ヨーロッパ橋」、最後に、どこか気になるセザンヌの静物画を取り上げます。

1)10月12日(月)グロテスク装飾
 グロテスクという言葉は聞いたことがあっても、グロテスク装飾と言う言葉は聞いたことがない人が多いのではないだろうか。起源的にはグロテスク装飾が先で、グロテスクという言葉はあとに定着することになる。右の図がグロテスク装飾の一例であるが、これはいったい何であろうか。ヨーロッパの宮殿に現れた建築装飾といえば少し理解できるかもしれない。日本では馴染みがない装飾であり、ヨーロッパの有名な宮殿(たとえばベルサイユ宮殿)などに行っても、特に気がつかない部分であろう。
この装飾はどこにあるのだろうか。なぜ気がつくことがないのか。アラベスク模様(装飾)といえば、聞いたことがあるという方々に、グロテスク模様(装飾)との違いも感じていただきたければ嬉しい。ちなみに私はこの研究をしている。
2)11月8日(月)プロフィールとシルエット
 ヨーロッパの人々は、人物を正面から捉える場合と、横から捉える場合がある。肖像画で最も多く、よいとされるのは、4分の3の角度といわれている。しかし、実は横顔(=プロフィール)は、その人物の特徴をよく捉えているとされる。大プリニウスが書いた『博物誌』において絵画の起源というのは、「シキュオンまたはコリントで、一人の男性の影の周りに線を引いたことに始まり」、「彫刻(造形)の起源もまた、ランプの光で壁に投影した若者の影を線に閉じ込め、それを粘土で象った」という。だから古代より横顔は貨幣やメダルにおいて彫られ、ヨーロッパでは馴染みがある。18世紀になって流行した黒いシルエットも正面からではなく側面から捉えられた特徴をもつ。この講座ではヨーロッパ人の横顔(profil)と正面顔(face frontale)について研究してみよう。
3)12月13日(月) ダヴィッド「マラーの死」
 ジャック・ルイ・ダヴィッド(1748-1825)は、フランスの新古典主義派を代表する画家としてよく知られている。ダヴィッドは、フランス革命以前は、歴史画、聖書画など、正統的絵画で知られ、フランス革命後は、ナポレオン帝政の主席画家となり、「ナポレオン1世の戴冠式」やナポレオンの肖像画、騎馬像などを描いた。ダヴィッドは、フランス革命期は、政治的混乱の中、世辞活動もしており絵画の数は多くない。彼はジャコバン派を支持していた。同じジャコバン派の指導者マラーがジロンド派の娘、シャルロット・コルデに殺害される事件が起こる。ダヴィッドは、このマラーの死を英雄化して描いた。神話でもなく聖書にも登場しない一般人の死を描いた絵を人々はどう思ったのか。オリジナルはベルギーの王立美術館にあるが、プロパガンダのため描かれたレプリカが複数存在する。また「マラーの死」は、後世の画家、ボードリー、ピカソ、ムンクらも取り上げた。この絵の特異性とは何か考えてみよう。

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この講座は、初回からの受講料を全額いただきます。

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日程
2021/10/11, 11/8, 12/13
曜日・時間
第2週 月曜 10:30~12:00
回数
3回
受講料(税込)
会員 7,920円 
設備費(税込)
330円
持ち物など
筆記用具をお持ちください。


講師詳細

武末 祐子(タケマツ ユウコ)
西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻教授。西南学院大学卒業。1986年~1987年、フランス政府給費留学生。1987年、グルノーブル第3大学フランス文学研究科DRS(博士)。1995年、パリ・ソルボンヌ第4大学DEA取得。専門は、フランス19世紀文学。研究テーマはグロテスク美学。著書は『グロテスク・美のイメージ―ドムス・アウレアからフロベールまで』(春風社)など。フランス語教育にも関心があり、論文執筆・発表を行っている。