漱石の漢詩 南画趣味時代を中心に
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  • 黒田講師
  • 黒田 眞美子(元法政大学教授)
講師詳細

 漱石の漢詩は、「日本人の漢語の詩として、めずらしくすぐれる」(吉川幸次郎『漱石詩注』序)と評価されています。ただ南画趣味時代の作は、単なる余技としか見られていません。ところが吟味してみると、それらの評価は「風流」の仮面に欺かれて、真の本質を理解していない結果に過ぎません。幼少期から培われた豊かな漢籍と南画趣味の蓄積が凝縮されて、彼の心情と理想を余すところなく表現しています。彼自身が描いた絵画をも鑑賞しながら、諸篇が如何なる特質を有するか、考究したいと思います。

<4月期講座>
 昨年夏の講座から題画詩を中心に読んでいます(10月~2023年3月は休講)。「題画詩」とは、文字通り、絵画に添えられた漢詩ですが、絵画だけでも自己表現できるのに、なぜ漢詩が必要か。それを考えれば、漱石が漢詩を作り続けた理由に近づけるかもしれません。「ヘタウマ」と評される漱石自身の絵画も楽しみながら、詩と画との関わりを問題意識にもって、漱石詩の豊かな典故や多様な技巧を正しく理解し、彼が託した理想や真情に迫りたいと思います。

この講座は、ご入会が必要です。会員でない方は、ご入会の手続きをお願いいたします。

お申し込み
日程
2023/4/11, 5/9, 6/13
曜日・時間
第2週 火曜 15:30~17:00
回数
3回
受講料(税込)
会員 9,900円 
設備費(税込)
495円

講師詳細

黒田 眞美子(クロダ マミコ)
東京大学大学院博士課程修了。元法政大学教授。博士(文学)。専門は、中国六朝唐代文学。主な論著:『韋應物詩論』(汲古書院)、「夏目漱石の中国文学受容」(『日本文學誌要』第95・96号)、「夏目漱石 初期の漢詩」(『法政大学文学部紀要』第81~85号)、共編『中国古典小説選』全12巻(明治書院)、訳注『聊齋志異』(光文社古典新訳文庫)など。